第1134話 今回もなかなか当たり

 またひさしぶりにですね、YouTubeのCMを見まして。とにかく浮気だ何だでヒロインが振られることから始まる系のアニメCMです。


 何なんでしょう、やっぱり振られた女って色んな意味でねらい目なんでしょうね。ほら、創作の世界でも現実世界でも、失恋した女の子に近付いてくる男っていますから。いや、こんな悪意のある書き方をしましたけどね、別に嫌いじゃないんです。よーし、弱みに付け込んで食っちゃえ、みたいなやつは論外ですけど、ヒロインのことをずーっと思ってて、だけど彼女は別のやつが好きで、そんで失恋したから「俺じゃ駄目……?」みたいな展開ならね?! よっしゃ、ファイトファイトー! ここからだよー! ってなもんなんですけど。


 何の話でしたっけね。そうそう、CMCM。


 そう、やっぱりね、冒頭から振られるわけです。今回は旦那に求められなくなったアラフォーのおばちゃんではなく、全然若いカップルです。彼の方がね、言うわけです「ごめん」って。何がごめんなのかな、って思ったら、浮気した挙句、妊娠させちゃった、って。責任取って結婚するわ、俺、って。とんでもない野郎ですよ。まぁ、まだ責任取って結婚するだけましなのかな?


 そんなこんなでヒロインのカナちゃんは振られちゃうわけです。そんでもう仕事もうまくいかず踏んだり蹴ったり。そんなところに現れる職場の同僚男性(後輩か同期)。自棄を起こしたカナちゃんは言うわけです。


「●●君が慰めてよ」


 この子もこの子でなかなかのビッチです。ビッチなのかな。わかりませんけど。


 それを快諾した●●君(名前忘れた)。カナちゃんをどこかに連れて行きます。おっ、ソッコーでホテルとか男らしいな貴様、と思っておりますと、着いた先は美容室っぽい空間。


「実は俺、スタイリスト(だったかな)もやってるんだよね」


 副業?! 副業ありなのこの会社!


 それとも私の聞き間違いで「やってんだよね」だったかもしれませんが。それはまぁ良いです。とにかくそういうスキルがある、と。そんで●●君はカナちゃんのメイクを落とし、目の腫れを引かせて美容液を勧めます。その効果にカナちゃんはびっくり。どうやら一本丸ごともらったらしく、その翌日、「●●君、この美容液すごいんだけど、何これ!」と興奮気味です。


 さーてここからが本番です(このCMの)。


 実はこちらの美容液、完全オーダーメイドなんだ。カナちゃんの肌質に合わせて作られているんだよ!


 ●●君は得意気です。

 カナちゃんも「え!? 私の肌に?!」と驚きです。


 違うよ。

 カナちゃん、驚くところ違う。


 何で彼氏でも何でもない●●君がカナちゃんの肌質に合わせた美容液を持ってるか、って部分でしょ?! ぶっちゃけここはドン引きして身の危険を感じるところだよ?! ここからストーカーによる監禁ストーリーが始まってもおかしくないやつだよ?!


 けれども、カナちゃんの方でもその辺はまんざらでもないのか、まったく触れずに話は進みます。


 どうやらその商品、通常価格は12000円(やっぱりね)らしいのですが、初回に限り、何と驚きの1980円らしく、さらにはプレゼントでメイク落としやら洗顔やらとにかくありとあらゆる肌のお手入れセットが届くらしいのです。エーッ、こんなにもらえて1980円?! カナちゃんは大興奮。


 しかも、万が一お肌に合わなくても大丈夫! と言うので、ははぁ、使い切っても全額返金しますとかそういうやつかな、ネットで買うやつってそういうの多いもんな、と思っておりましたら――、


 再調合致します、と。


 駄目だ、このメーカー、何があっても逃がす気ねぇ! こっわ!

 しかも最初にフルセットプレゼントしてるから、もうばっちり肌に合っちゃってもう手放せなくなるやつじゃん。だけど次回からは12000円だし、その他諸々も次からは自腹で買わなきゃいけないわけだし。おいおいトータルでおいくら万円になるんだよ。


 と、ガクガクしておりますと、最後の最後でですね。この手のCMのたぶん定番の締めだと思うんですけど、その美容液あれこれできれいになったカナちゃんの元へ別れた彼氏がやって来て復縁を迫るわけです。

 

 嫁と子どもは?!


 真っ先にそれが浮かんだのですが、カナちゃんがそれを指摘する間もなく、●●君がサッと現れ、いまは俺のだから、と。ストーカー●●君、無事、ターゲットを一本釣りした模様。


 いや、でもさ、これ別に冒頭で彼氏は「お前、肌汚いから浮気したわ」とか、「やっぱり若い女は肌の張りが違う」みたいなこと一切言ってないんですよ。だからきれいになったから戻ってきました、っていうのも正直違うんじゃないのかな、って。やはりこの辺が気になってしまうのも、物書きだからでしょうかね(偉そうに)。

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