第1123話 いいにいさん

 さて、1122話が『いいふうふ』であるならば、1123話は当然『いいにいさん』であるわけです。そうなると、『いいむすめ』は何話になるんでしょう。『いいむ』までは『116』とわかるのですが、『すめ』はどの数字で表すべきなんだ。教えて、ポケベル世代の人!(実はギリギリ世代でもない)


 とまぁ、いずれにしても1160話までは『いいむすめ』回はなさそうなので、まぁ良いか。いや、待て。『いいにいさん』ということは『いいいもうと』なのではなかろうか。とすると『111いもう10』とか……? おいおいこのエッセイ10000話超えるのかよ。10000話どころか11000話超えてんだが? しかもその次11111話とかもう何よ。何をどう祝ったら良いのよ。


 そんなことは置いといて。

 またウチの息子がさらっとすごいことをやって来たのでここに報告させていただこうかな、って。


 夕飯を食べた後のことです。

 いつものように歯磨きを終えた息子は、パパに仕上げ磨きをお願いしに行きました。そこで旦那が「そういえば」と何かを思い出したらしく、息子に言うのです。


旦那「息子君、お母さんに言った?」


 ちなみに息子はいま、進級に備え、『パパママ呼び』を『お父さんお母さん呼び』に変えているところです。娘の方はまだまだ『パパママ』なため、我々も子ども達の前では一人称が『パパママ』になりがちなのですが、これも息子の前と娘の前で変えねばならず(『お父さんお母さん』で統一すりゃいいんだけど)、正直ちょっと混乱しています(親の方が)。


 それでですよ。旦那のその言葉で彼自身も思い出したらしく、「まだ言ってなかった!」と。


旦那「じゃあさ、ぐちゅぐちゅぺっしたら、お母さんに報告してきな」

息子「うん!」


 今回に至っては、旦那からの事前報告がなかったものですから、完全にサプライズです。夫婦の間に隠し事などありませんから(ただし執筆活動は除く)、いつもならこの手のサプライズも割とほんのりほのめかしてくれるんですけど(今日、息子君からプレゼントがあるよ等)、今回はマジのガチでないのです。何だろ何だろと思いながら、ワクワクして息子が来るのを待ちます。


 そして――、


息子「ママー、じゃなかったお母さーん」


 もう可愛い。

 毎回うっかり『ママ』って言っちゃうのもう最高に可愛い。可愛さのあまりハグしてしまいそうになりますが、ここはぐっと我慢です。


 すると息子は、「あのね、ぼく、今日ね」と何やらもじもじしています。漫画やアニメで見るようなもじもじっぷりが最高に可愛いです。ここまで来ると可愛さの暴力。可愛さに次ぐ可愛さに審判が止めに入る寸前ですよ。何、こんなにもじもじするって何。もしかして女の子に告白されちゃったとかそっち系? わかる。わかるよ。お前可愛いもん。ゆるキャラとかマスコットキャラとかそういう系統だけど、最高に可愛いもんな。あっ、それともアレ? ホワイトデーの何たらで(11日でした)学校でママの絵を描いたとか(そんなイベントあるわけないけど)、折り紙でハートを折ってきたとかそういうやつ!?


 とにもかくにもこちらは期待で胸がパンパンです。何? 一体何があったの?!


息子「ぼくね、歯が抜けたの」

宇部「……は? 歯?」

息子「うん! ほら、ここ!(上の犬歯)」

宇部「あっ、ほんとだ」


 歯なのです。

 それはまぁ喜ばしいことなんですけど、引っ掛かることがあります。


宇部「ちょっと待って。ぐらぐらしてたっけ? え? そんな話聞いてなかったけど? え、良夫さん、聞いてた?」

旦那「それがさ、俺もまったく聞いてないんだよ」

宇部「え? 歯ってそんなノーモーションで抜ける? え? 息子君、ぐらぐらしてたの?」

息子「ううん」

宇部「じゃあぶつけたとか?」

息子「ううん」

宇部「何で抜けたの?!(混乱)」

息子「うーんとね、学校でねー、何か抜けた」

宇部「何かで歯は抜けねぇよ! マジか! え? 昨日とかぐらぐらしてなかった?」

息子「ううん」

宇部「ウッソだろ!」


 確かに息子の性格上、ぐらぐらして来たら真っ先に報告すると思うのですが、そんな報告は一度もないのです。それに、永久歯がおかしなところから生えて来てるとかもないわけです。逆の方の犬歯は、ぐらぐらしているうちに永久歯が生えて来ちゃって、ちょっと八重歯みたいな感じ(自らチャームポイントを増やす男)になってしまったのですが、そういうこともないのです。


 まさかのサプライズ抜歯(これも抜歯って言うのかな)報告でした。

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