前のエピソード――第1097話　サメ

　私ね、上に姉がいるんですよ。姉だけじゃなくて弟もいるんですけど。あれですね、だんご三兄弟で言うところの『♪じぶんがいちばん　じなん　じなん♪』っていうポジション。言うほど「じぶんがいちばん」でもないと思うんですけどね。

　姉は三つ上で、弟は五つ下なんですけど、やっぱり年が近いのと同性ということで、姉とは仲が良かったというか、いまでもちょいちょいLINEでやりとりしています。ウチの子ども達も可愛がってくれますし。

　そんな姉からですね、いきなりLINEが来たわけです。

　しかも『ジャングルの王者ターちゃん』の動画付きで。

　以下、彼女（姉）とのLINEやりとりです。

姉「懐かしくない？（ターちゃんの動画添付）」

宇部「ターちゃん懐かしいね」

姉「久しぶりに見たら松清思い出したわ」

宇部「私？！」

姉「ターちゃん好きじゃなかった？」

宇部「そんな記憶ないけど、嫌いではないかな」

姉「漫画買ってなかった？」

宇部「買ってないよさすがに」

姉「あれ？あった気がしたが気のせいか」

　この辺りでね、ははーん、何か別の漫画と勘違いしてるな？　って思ったわけです。ターちゃん、嫌いではないですけど、さすがにあれを全巻揃える勇気はないですよ。

　ここでね、考えたわけです。

　姉がターちゃんと間違えるような本って何だ？　って。

　絵のタッチ的にジョジョとか？

　いいや、あれは秋田（コッチ）に来てから買ったやつだから違うしなぁ。

　とすると、絵じゃなくて（ジョジョとターちゃんの絵も似てないけど）、内容か？　そんなジャングルで腰巻一丁の男が出て来るような本、持って――

　パ　プ　ワ　君　じ　ゃ　ね　？　！

　出て来る！

　確かにあれジャングルだし、パプワ君も腰巻一丁の男だわ！　だいぶテイストが違うけど！

　そう思って、急いで返信したわけです。

宇部「パプワ君とかじゃなくて？」

姉「パプワ君か」

　そしたら同時で。

　姉妹で同時にパプワ君を叩き出して。

　こっちがパプワ君って打った瞬間に向こうからもパプワ君が来て。

　いやもう、半裸って部分しか一致してねぇわ。部分一致なんだわ。

　途中で買うの止めちゃったんで、結局どういう風に終わったのかさっぱりなんですけど、そういやパプワ君持ってました。

　まぁパプワ君は良いんですけど。

　なんていうか、私、姉にターちゃん全巻揃えるほど好きだと思われてたんだな、って。いや、面白いし嫌いじゃないんですけど。なんかほんのりショックでしたね。

　その後、LINEのやりとりが面倒みたいなことになって電話に切り替えられてしまったんですけど、そこから30分くらい付き合わされて地獄でしたね。もうほんと身内相手でも電話嫌なんですよねぇ。かといって会って話すのも正直面倒。もう全然LINEで良いんですよ。それすらも端的に終わらせてほしい。三往復くらいで。

　私たぶん、いま高校生とかだったら普通にLINEで告白してたんだろうな。現代っ子はそれが普通なんだろうか。いや、私現代っ子でもないんですけど。