第1091話 思ったようにならない
先日の電球マジックの話で思い出したやつなんですが。
昔、林真理子さんという小説家さん(※直木賞作家{現直木賞選考委員、日本文藝家協会理事長、柴田錬三郎賞、菊池寛賞を受賞})のエッセイの中で、「バーが入ってる建物のエレベーターの照明はオレンジ色のやつにしてほしい」みたいなのがあったんですよ。
その、オシャレなバーでいい感じに酔って、さぁ、何ならここからホテルかな? みたいな雰囲気になってるのに、エレベーターの照明があのパキッとした白いやつだったら、バーの中では可愛く見えた(はずの)ほんのり赤い顔とかも何か違う感じになるっていうか、魔法が解ける感じになる、みたいな。
もうね、当時たぶん大学生とかだったと思うんですけど(雑誌『アンアン』の連載のやつだったから)、共感しかなくて。
この世のね、良い感じのお店が入ってる建物のエレベーターの照明はすべてオレンジ色のやつであれよ!
そう思いましてね。
というのもですね、私、お酒が飲めないわけじゃないんですけど、一番飲んでたであろう大学〜社会人2年目くらいの時でさえ、まぁ弱い方で。飲めば強くなる、って話なんですけどね。体質的にほんと駄目な人を除きますけど。
真っ赤になるんですよ。
その、ほんのり赤くなって可愛い感じになるんじゃなくて。
あの漫画とかで見る、居酒屋で真っ赤になってるおっさんみたいな感じの赤さ。もう心の中ではネクタイも頭に巻いてる。
毛穴も何もかも開きまくりでね。化粧で隠してるはずなんですけど、飲んでる頃にはファンデも落ちかけてますから。宅飲みだったらもう下手したらすっぴんですよ。そんで、宅飲みなら、ずーっとそのパキッと白い照明ですからね。女性と飲んでたはずが、いつの間にか赤ら顔のおっさんに変わってるんですよ。
それでですね、それでもまだお酒はね? 特定の人(旦那)の前でしか飲まないから、隣にいる妻が突然脂の乗った50代くらいのおっさんに早変わりしたとしても、まだ良いんですよ。たぶんそれくらいは誤差の範囲で笑ってくれる人なんですよ。旦那の度量がすげぇ。
ただですね、お風呂。
これがですね、昔から嫌で。
違うんですよ、お風呂は大好きなんですよ。そうじゃなくて。
修学旅行とかね? 社員旅行とかね? 当時付き合ってた彼氏との旅行とかでも良いんですけど、とにかくお風呂なんですよ。温泉とかのレベルの。湯上がりは浴衣で登場するタイプの。
私ね、湯上がりも全然そのほんのり桜色がドウタララみたいな感じにならないんですよ。よくあるじゃないですか、湯上がりの彼女の頬がほんのり上気してて色っぽくて――みたいな。髪もしっとり濡れててね、そんで浴衣でね。
こっちはね、20代の時分から、毛穴全開きだわ、何かテカテカだわ、化粧で隠していたニキビ痕が大フィーバーだわで、色気の「い」の字もないんですわ!
ニキビ痕って、すっぴんでも普段はそんなに目立たないのに身体が温まると浮き上がってきません? 何? 古傷? 浮かび上がると何らかの力が発動する的なアレなの?
もうとにかくね、お酒を飲むようなところと、大きなお風呂のある施設は、照明という照明を全部オレンジのやつにしてくれ!
あっ、今日バレンタインじゃん!
戦うイケメンの方ばっかり書いててバレンタイン短編書いてないじゃん!
※林真理子先生について、訂正させていただきました。
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