第1058話 ブルー期
これまたね、男性の皆さんには理解しがたい話なんですけど。
いや、女性にはね、月に一度、一度っていうか、数日間、体内に仕掛けられた爆弾がドカンと爆発する時期があるんですよ。爆発といっても、症状は人それぞれではあるんですが。しかも、爆発なら一回で済むんですけど、そういうことでもないですからね。『厄介なお客様』と表したりもします。ずーっと腹の中に居座ってやがる。
これまでですね、まぁ厄介だ厄介だと思いながらそれをやり過ごしてきた私なんですが、ダイエットを始めてですね、女性には、1ヶ月の中で『痩せやすい期/痩せにくい期』というのがありまして、それがどうやらその『厄介なお客様滞在期間』と密接にかかわっているということがわかったんですね。
そんで、最も痩せやすいのがその『お客様』が去った後の1週間ということでですね、そこを狙って多少きつめのエクササイズをしたりすると、するっと体重が落ちたりするとかしないとか、っていう。
なのでね、いよいよもって私はね、その周期を管理するアプリを入れたんですよ。カレンダーになっててね、最初に大まかな周期を入力すると、次の来客がいつなのか予想してくれたり(外れてもたぶん正しい日にちを入力していくうちに精度が上がっていくと思われる)、いまが痩せやすいですよとか、気持ちが沈みがちだから気をつけて(何に?)とか、そういうのを知らせてくれるんですね。
それでね、「ハハァ、やけに打たれ弱いと思ったら、いまはそういう時期なのか」ってちょっと冷静になれたりするわけです。
もうね、その『気持ちが沈みやすい期』、ブルー期とアプリ内では呼んでるんですけども、この時期の私はね、もうとにかく悲しいことばっかり考えちゃうんですよ。
こないだですね、夕飯が餃子だったんですよ。
宇部家では、餃子は旦那が焼くことになってまして。なぜって、私あのフライパンにお皿被せてひっくり返すの出来ないんですよ、怖くて。そういう理由で旦那に焼いてもらってるんですけど。
「もし旦那が先に死んでしまったら、私は餃子を焼く度に失敗して、それで旦那を思い出して泣くんだろうな」
そんなことを考えて涙目になりながら餃子食ってるわけです。隣で旦那が元気にもりもり餃子食ってんのに。そんなこと考える必要もないのに、いきなりそんなことを考えてウルウルしてるんですよ。
そんで最後3つ残った餃子を息子が食べたいっていうもんですから、どうぞ、って言ったら、
「妹ちゃん、餃子食べる? 僕が全部食べても大丈夫?」
って妹に聞いてて。
なんならその妹はその時点で兄よりも食べてたんですけど。
普段は大皿にどーんって出すことがないものですから、そうやって気を使えるようになってたことにもじわっと来ちゃって、
「いいいいつまでも優しいお兄ちゃんでいてねぇぇぇぇ」
って。
もうママ何事?
餃子食べるだけで何事?
これアレかな、更年期とかなのかな。
だとしたら納得ではあるんですけど、じゃないとしたらおっかないですよね。えー、私どうなるんだろ。
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