第1039話 犬神家の一族

 ここ最近のBGMがですね、もうタイトルにもある通り、『犬神家の一族』なんですよ。ご存知です? 横溝正史御大の小説のやつね。小説や映画は知らなくても、あの湖でさかさまになってるシーンは有名なので、知ってるという方もいるのではないでしょうか。あと何かゴムマスク着けてる人とかね。


 というわけで今回はこちらの映画についてやいやい書かせてもらおうと思うので、例の如く「ちょっともういい加減にしてください。ネタが尽きて来るとすぐ映画の話になるんだから!」「毎回毎回ネタバレするの止めてください!」「人が死ぬ映画ばっかり見てるなんて、人としてどうなんですか。フォローも外しますし、カミソリレターも送ります」という方はいまのうちにブラウザバックしてください。私がここでくだらないことを書き連ねているうちに早く! 早く逃げて!!


 まぁもちろんそんなそんなネタバレはしないんですけどね。さすがに犯人とかは書きませんて。


 いや、やっぱり気になるところが色々あるわけです。

 

 ジャンルがですね、サスペンスということで、まーばんばん人が死ぬわけです。何せ遺産相続の話な上に、その額が桁違いなものですから、相続する側の人達もギーラギラなんですよ。それで殺人が起こるわけなんですけど、二人目が殺されてですね、その首が、庭に飾られている菊人形にすげ替えられているんですよ。ワーオ、猟奇的!


 それでですね、その遺言状を持ってた弁護士さんが金田一(石坂浩二)さんを呼んで、「あの菊人形を見てください」って言うわけです。そんで金田一さんもですよ、まさかそのうちの一体の頭が被害者のになってるなんて思いませんから、「へぇー、これ全部犬神家の人の顔になってるんですねぇ」なんてのんきなこと言いながら一体一体じーっくり見て、それで最後にその問題の一体をみて腰を抜かすわけなんですが――、


 いや、犬神家の人の顔にそこまで似てないが?

 金田一さんよくわかったな。


 私これ何度見ても「えー全然似てないけど? 金田一さんはさすが名探偵でいらっしゃるなぁ」という感想なんですよね。どう頑張ってももう少し本人の顔に寄せられたでしょ、当時の技術でも、って。


 まずね、そこがどうしても気になるんですけど、もう一つですよ。

 

 その菊人形の頭とトレードされた被害者のお母さん、竹子さんというんですが、まぁもちろん半狂乱です。そりゃそうです。可愛い息子が殺されたんですから。夫と娘が二人がかりでなだめようとしても、それを吹っ飛ばすほど暴れ回ったり(娘はガチで吹っ飛んだ)、かと思えば、髪はぼさぼさでただただ握り飯だか饅頭だかをもそもそ食うマシーンと化して、「お母様、気が変になったのかしら」と娘に心配されたりするわけですよ。いや、娘。お前はもうちょっと悲しめよ。兄貴が殺されてんだぞ。


 ただこの竹子さん、その妹の梅子さんの息子さんが殺される頃にはなんかもうしゃっきりしてるんですよ。数ヶ月後とかじゃないんですよ? 何ならもう数日後とかのはずなんですよ。もうびしーっと着物も着てね、髪もきっちり結ってですね、きりっとしてるんですよ。そんで警察の人にね、事件のカギになるっぽい愛人の話とかをするわけですよ。


 立ち直るのさすがに早すぎでしょうよ!

 息子が! 殺されてんですよ!! 

 新しい殺人が起こったらその辺の感情はリセットされるもんなの?


 もうこの辺りが何度見ても、いや、見れば見るほど気になっちゃって、怪しさ満点のゴムマスク男ですとか、湖に逆さになってる例のシーンなんかも「はぁ、左様で」状態なんですよ。


 あと個人的に、誰よりも那須ホテルの女中役の坂口良子さんが可愛いと思います。


 私はクリスマスイブに何でこんな話を……。

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