第1029話 そこは出口だから
10月にですね、人間ドックを受けましてね。もうこのエッセイでも毎回描いているので、宇部家では毎年ドックを受けていることは皆さんもうご存知かと思うんですけど。
さらに職場の健康診断もあったんですよ。
ただそれは、毎年10月というわけではなくて、クソ寒い12月にあったりもします。健康診断カーみたいなやつでお医者さんとか看護師さんとか技師さんがわらわらと来て、休憩室だったり、その車の中であれこれされる(いかがわしい言い方)わけです。
その職場の健康診断が今回10月で。
何なら、私のドックの翌週で。
おいおい、そんなにそんなに健診ってするものなのかよ。私、前週にドックやってるんで必要ありませんって言おうかな? とも思ったのですが、これはこれで受けなきゃいけないらしく。ただ、二週連続でバリウムを飲むのは御免被りたいということで、そこだけは勘弁してもらいました。
で。
まぁ、受けたわけです。
結果もね、そりゃあ時間差で届きます。
ドックの方はまぁこれといって何もなかった(何もないわけじゃないけど、まぁまぁ大丈夫)んですが、職場の方で引っ掛かったんですよ。
まぁ前回もね? 要精密検査って文字にビビり散らかしたら、視力の方(悪すぎますって)で、もう一回検査したらそうでもなく、たぶん半日働いてからの検査だったから、目が疲れてたんじゃないかな、っていう結果に終わってますから。どうせその手のやつでしょ、などと思い、内容を確認しますと――、
大腸!
Bに血が!
親方! Bから血が!
まぁよくよく思い返してみたらですね、その時の私の腸のコンディションが少々バッドな感じだったんですよね。出なきゃ出ないで仕方ないらしいんですけど、受ける以上は提出したい。というか、提出しなくては、という義務感みたいなやつでめちゃくちゃ頑張って出したんですよ。
それでかな?
頑張りすぎたかな?
そう思いました。
それにその前週に提出したBの方ではなーんもなかったわけですから。事情を話して二次検査をパスしようかとも思ったんですけど。
だけど、わからないじゃないですか。
もしかしたらその一週間の間にいきなり腫瘍とかが出来てるかもしれないじゃないですか。そういう腫瘍とかって、徐々に出来るものなのか、ある日突然ドカンと生まれるのか知りませんけど、いずれにしてもどこかにその境目はあるわけじゃないですか。だとしたら、それがいまかもしれないじゃないですか。だとしたらスーパー早期発見じゃないですか。
そう考えたらですね、もう受けなくちゃ、って。
何されるんだか知らないけど、とにかく病院行かなくちゃ、って。
幸いなことに、家から徒歩五分の内科が消化器も見てくれるところでしたので、検査結果を持って乗り込んだわけです。
そこで、職場の健診で引っ掛かったこと、だけど、その前の週にもBを提出していて、そちらでは特に何もなかったことなどを検査結果と共に伝えてですね、先生の方でも、そんじゃまぁ一応検査しとく? みたいな感じで、私の精密検査が確定したわけです。
でも、何するんだろう。
もっかいBを提出するのかな?
固いベッドに寝かされて、お腹をぐいぐい押されつつ、そんなことを考えます。
すると先生は言いました。
「それじゃ、お尻からバリウム入れるので、前日から検査食です。詳しいことは後で看護師から説明を受けてください。日程ですけど――」
!!?
尻からバリウム?
これまでバリウムはお口の方からしか入れたことがないんだが?
食べ物で遊んではいけませんって習ったんだが?
さてはバリウムって食べ物じゃねぇな?
軽い気持ちで(そんなに軽い気持ちではないけど)病院に行ったら、とんでもないことになったわけです。
もうね、先人の言葉がよぎりましたよ。
『尻は出口であって、入り口ではない』って。
誰の言葉か知りませんけど。尻だけに、って上手くもなんともねぇ。
私もですね、かれこれ約40年生きてきたわけですけども、まさかまさか坐薬以外のものを尻に入れる日が来るとは思いませんて。いや、いつかはね? こういう検査を余儀なくされるような事態になるのかもなって思ってたりはしましたけど、少なくともいまじゃねぇ。
とりあえず、旦那にその旨を報告しましてですね。旦那もびっくりするかなぁと思ったんですが、彼自身は未体験ながらも、案外身内に経験者がごろごろいるらしく、そこまで驚かれませんでした。
というわけで、このネタでもう少し引っ張りますイッヒッヒ。
あっ、ちなみに皆さんが心配なさらないよう結果だけ先にお伝えしちゃいますけど、異常無しでしたので、今後これ絡みの話は「まーた宇部さん馬鹿なこと書いてるな」みたいなノリで読んでいただけたら嬉しいです。
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