第927話 結局わからない
コーヒーが好きです。
毎日飲んでます。
ただ、だからといって舌は肥えていません。もう皆さんおわかりかと思いますけど。舌は馬鹿です。コーヒーの味がついてりゃ良い。
だけどいっちょ前に買うメーカーとか味は決まってるんですよ。まぁ、それを買い始めたのもセールで安くなってて、それで買って飲んだら美味しかった(ような気がする)から〜、っていうのがきっかけなんですけどね。高確率で安売りしてくれるやつなので、家計的にも大助かり。
そんなある日、職場の先輩がですね、
「宇部さん、ウチに飲まないインスタントコーヒーがあるんだけど、いる?」って。
いらないなんて選択肢はないです。
どうやらお歳暮とかお中元でもらったらしいんですが、そこのお家ではあのなんていうの? バリスタ? とかいうのを使っているとかで、そのインスタントコーヒーは飲まないのだとか。ちっくしょう、ブルジョアジーですね。
「いつも飲みきれなくて捨てる羽目になるんだよね」
なんて言われたら、これはもう人助け! 飲みます! 飲ませてください!
そんなわけで、インスタントコーヒーをいただいたのです。とはいえ、もちろんあれですよ? お歳暮やお中元だからといって、なんかめちゃくちゃ高級なやつとかじゃないです。普通にBl●ndyのやつ。でも、全部蓋の色が違うやつでですね、つまり、全部違う味!
これは……飲み比べが出来るのでは?
一瞬考えましたよね。
なんかこう……セレブみたいに、その日の気分で今日はこの味、みたいなの出来るんじゃない? って。私の中のセレブ、しょぼいなぁ。
だけどね、そんなしょぼいセレブ以上にしょぼいのが私なわけでして。
一気に開けたら湿気っちゃうじゃん! 却下!
というわけで、飲み比べは諦めたんですが、普段買わないコーヒーであることには間違いありませんから、一瓶ずつじっくり味わって一番美味しかったものをこれからも買えば良いのでは? と思ったわけです。いま飲んでるやつ(赤い袋)も美味しいと思って飲んでるけど、もしかしたらもっと美味しいのに出会えるかもしれないし!
よし、そうと決まれば!
その日から私の『美味しいコーヒー見極める旅(たった三瓶だけど)』が始まったわけです。一瓶めを飲み切り、二瓶めを飲み切り、そして先日、三瓶めも飲み切りました!
なるほど!
わからん!
どいつもこいつも毎日美味い美味い飲んでたし、瓶なのに詰め替えちゃった(その瓶だと計量スプーンが入らないので)せいで、自分がいま飲んでるやつがどれかもわからないという始末! 馬鹿か! 付箋でも貼っとけや! 何で三瓶飲み切るまで気づかねぇんだ!
もう自分自身にびっくりして。無能ぶりにね。主に無能だなって部分に。あと、舌の馬鹿さ加減に。結局ね、いつもの赤い袋のやつ買いましたわ。
ちなみにその赤い袋のやつはですね、その昔、旦那にお使いを頼んだ際、
「Ble●dyの『モカ』ってやつ買ってきてください。赤い袋の」
って言って送り出したんですけど、
「Blen●yのモカってどれ?」
ってLINEが来てですね。売り場の写真を送ってきてくれたんですよ。そしたらちゃんとそこにあってですね。
「んもー、汝の目は節穴ぞ〜? あるじゃーん」
って電話したら、
「違うんだよ。これね、モカなんてどこにも書いてないんだよ。まろやかブレンドってしか書いてないんだ。俺もさ、赤い袋って松清子が言うから、これかなって思ったんだけど、モカじゃないしなーって」
って。
えっ。
モカじゃないの?
私ずっとモカだと思って買ってたし、モカだと思って飲んでたんだけど……? って。膝から崩れ落ちた記憶があります。
もうね、私の目ってガラス玉なんじゃないかなってここ数年ずっと思ってますわ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます