第921話 他人事ではない

 さて、めちゃくちゃ平和だった我が町にもいよいよコ□ナの変異株が上陸した模様でして。


 これまでコ□ナ自体はポツポツと発生していたんですけど、驚くほど広がらず、気付けば患者数も新規感染者数も0になってたりしてたんですけど、流石に変異株ともなるとそうもいかないようです。怯える毎日ですね。都会の人達はいつもこんな感じなんだろうな、といままでのんびり暮らしてて何だか申し訳ない気持ちになります。


 とりあえずマスクを二重にしてはみたものの、調べてみるとあれですね、二重にすること自体はそこまで効果ないって書いてましたね。ただ、二重にすることでフィット感が増すのが良いらしくて。つまり、隙間作んなよ、と。


 ということは、いつもほっぺたにしっかり跡がつくほど密着させている私は、ある意味正解だったってこと!?

 ほらあの、耳が痛くならないようにするやつつけてるんですよ。バーみたいなやつ。両端にフックがついてて。あれ、結局耳の位置よりも奥の方で固定する感じになるものですから、ゴムがものすごく引っ張られるんですよね。そのおかげで私のほっぺちゃんにマスクの跡が。


 アラフォーともなると、ほっぺに枕の跡なんかがついたりするともうなかなか消えないんですよ。つまりそれはマスクでも同じこと。ただまぁ、結局マスクで隠れるから良いんですけどね。


 ただここまで密着しているということはですね、常にマスクとチューしている状態なわけです。息苦しい息苦しい。もう慣れましたけどね。これあれじゃない? あのドラゴンボールとかで着ているものを脱いだらめっちゃ身体が軽くなるやつ。うひょー、身体がかりぃぞ! みたいな。


 だからあれですよ。

 このコ□ナが収束してね、皆がマスクつけなくても良くなった時……どうなるんだろう。


 ええと、いままで多分マスクに阻まれてあんまり酸素を吸えない感じだったのが、めちゃくちゃ吸えるようになって……?


 通常の三倍量で吸うように!?


 地球の酸素がやべぇ!

 そんで? 吸った分めちゃくちゃ吐くようになって? 二酸化炭素も三倍になったりして!?


 進む、温暖化!


 もちろんそんなことはないんでしょうけど。何でしょうね、あの高地トレーニングでしたっけ。酸素が薄い状態であれこれするやつ。あんな感じになりませんね。


 それでですよ、まぁ、往々にして人間ってのは我が身に降りかかるまではどこか他人事と言いますかね、あぁ、大変だなぁ、みたいな感じだったと言いますか。


 娘のね、保育園最後の運動会が中止になっちまいまして。全国の保育園はどうなのかわからないんですけど、ウチの地区の保育園って年長さんはマーチングがあるんですよ。おそろいの衣装着てね。息子もやりました。泣いた泣いた。あの子が! ちゃんと皆と同じことしてる! って。


 もちろん娘もどえらい張り切ってまして、楽器は日替わりで試していたらしく(先生が適性チェックしてるっぽい)、今日はこれをやっただの、衣装がちょっと小さいだのと、可愛く報告してくれていたのですが――。


 中止!

 延期ですらなく、中止!


 いや、ウチの方はもうコ□ナ発生当初からそうだが? って都会の方々は思うのでしょうけどね、ほんとすんません、ガタガタ騒いじゃって。


 正直、昨年、卒業(卒園)式&入学式が対象の学生と父母のみみたいな感じになった時も、娘の時には例年通りに戻るんだろうな、なんて楽観視してたんですけど、こりゃあ無理そうです。その時もコ□ナ畜生とは思ってましたが、我が身に降りかかると怒りも倍増ですね。


 しかもアンタ、田舎の恐ろしいところはですね、発生源が黙ってても噂として流れてくるってこと!


 ウチの職場のパートさんも、店の近くに住んでる人ばかりではありませんし、親戚やら知り合いやらが色んな所にいるわけでして。クラスター発生の一報が届いたその翌日にはどこどこの誰々さんらしいわよって。


 完全に誰かわからなければ「コ□ナ畜生」で終わるんですけど、「〇〇の〇〇さんが〇〇でBBQをして、それでクラスター発生らしい」なんてことを知ってしまったらですよ。

 もう、怒りがその個人へ向かってしまうわけですよね。


 人を憎むなコ□ナを憎め、つったって難しい。ウチの娘の最後の運動会をよくも! ですわ。


 とりあえず怒りを鎮める手っ取り早い方法として、昨日の夜はジンギスカンを食べましたし、我が身を犠牲にしてこのあとお菓子も食べます。


 そうか、これがコ□ナ太りか……。


※天気予報見たら運動会だった日、普通に雨でしたわ。どっちにしろ延期ではあったっぽい。

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