第917話 とうとう菓子にまで

 最近の私の作品を読んで下さった方はですね、私が『重い過去』系が好きだっていうのをもうご存知だと思うんですよ。


 特にあれね、いまが底抜けに明るいキャラであればあるほど重い過去を背負っていてほしい。まぁ、普段からちょっと陰のあるタイプでも良いんですけど、だけどやっぱりギャップっていうんですか、こんなにいまおちゃらけて明るいけど、実は……みたいなのにグッとくるんですよ。あの笑顔の裏には実は家族の死であるとか、恋人との別れなどなど、そういうのがあってほしいわけです。


 ただ最近ね、それが自作品以外にも出て来ちゃったというか。


 お菓子にもね、なんかそういうのを求めるようになってしまって。


 いきなり何言ってんだこいつ、ってね。思われたと思うんですけど。もうほとんどの読者様は慣れっこですかね。いつだって私はトチ狂ったことしか書かねぇんだ。


 ほら、ゴディバなんか有名じゃないですか。

 あのゴディバ(ゴダイヴァ)夫人のお話ですよ。夫レオフリックの圧政を諌めるためコヴェントリーの街を裸で馬に乗って行進した(Wikipediaより抜粋)って。どうやらこれは史実ではないというのが専門家の見解らしいんですけど、それはまぁ良いんです。


 何かもうそういうエピソードが欲しいな、って思っちゃって。


 例えば、マカロンとかね。

 あれ、見た目が最高に可愛いじゃないですか。色とりどりでね。味は……まぁ、いくつか食べたことがあるんですけど、正直そんなに食感とか味とかは好みではなかった(だったらそのお金でポッキーとか山ほど買いたい)んですが。まぁとにかく可愛いじゃないですか。なんかもう、擬人化したらお前絶対ロリ系美少女だろ、って感じに可愛いじゃないですか。


 だけど実はそのマカロン、元々は領主の圧政に苦しむ貧しい領民が唯一口にすることが出来た卵白(黄身だけ没収する領主とか最高に狂ってるけど)で腹を満たすために考案されたもので、当時は砂糖も入っておらず、

――、みたいな。それが時を経てやれ砂糖だアーモンドプードルやらを混ぜるようになり、どこだかの○○母さん(料理上手で有名)が着色料を用いることで華やかさを出したものが現在のマカロンなのです、とかね。なんかそういうのが欲しいんですよ。


 それかもしくは、戦地に赴く夫が無事帰還するようにという祈りを込めて焼かれた菓子で、丸く焼いた二つのマカロンをガナッシュクリームで挟むことによって、夫婦が再び一つになれるようにという験を担いでいる――みたいなね、そういうのでもグッときちゃう。


 何かそんな歴史的背景がないものかしらって勝手に想像して調べてみましたけど、そんなこと全然ありませんでしたわ。


 何か勝手に盛り上がってごめんなマカロン。

 

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