第876話 いらない穴
一つの物を長く使うのって良いですよね。
まぁその場合は、出来れば、長く使える感じの良い物であってほしいんですけどね。革製品とかそういうやつというか。普通の布製品なんかを穴があくまで使います、っていうのも、まぁエコはエコなんでしょうけども、ちょっと周りの目が……。それがまだ下着とかならね? 多少きわどい穴があいていても、誰に見られるものでもないわけですから、その辺はまぁご家族で楽しんでいただいて、ええ。楽しいですよね、それは。ウチだけかな?
私もこの年になりますと、まぁ、露出している部分じゃなけりゃ良いかな、みたいな気持ちになると言いますか、多少下着がヨレッヨレでも、靴下に穴があいてても、まいっか、みたいなところがあるわけです。ズボンはアレですね、デブ穴(と宇部が勝手に呼んでいる、腿の内側部分が歩行の度に擦れることによってあく穴のこと)があいたらさすがに慌てますけど、ポッケに穴があいたくらいでは動じません。どうせポケットには何も入れませんし。レディースのポケットって何であんなに小さいのよ。何入れるためのポケットなのよ。飴?
とまぁぶっちゃけ上記の件はすべてただの無駄話なんですけど、今日はですね、旦那が新しい鞄を買ったよ、という話をしたくて。
旦那はですね、ボディバッグっていうんですかね、とにかくそういうワンショルダータイプのバッグを持っていまして、お仕事もカチッとスーツを着る感じではないものですから、オンオフ関係なくそれを使っているんですね。もうマジで一年365日一緒。私みたいに服に合わせてとか、その日の目的に合わせて持ち替えたりはしません。何があってもずっとそれ。
それでですね、まぁさすがに傷んできまして。
ベルトがぼろぼろくらいなら気にせず使うんですけど、ファスナーがイカれちまったらもうどうしようもなくてですね。
しかもそのバッグ、何でかよくわからないんですけど、ウチのパパンが、「良夫君、鞄を買ってやろう」って言い出して、同じブランドの色違いを買った、という経緯があるやつなんですよ。だから、大事に使っていたつもりなんですが、ファスナーがイカれちまったらどうしようもないんですよ。
というわけで、泣く泣く買い替えたわけなんですが。
そのバッグがちょっと良いやつだったこともあって、その流れでやっぱりちょっと良いやつを買うのかな? と思ったら、さすがはべったりと地に足をつけている男。全然安いやつで良い、と。よっしゃそれなら、と私も少し足してやらぁ! なんつって、数日後、newバッグが届いたわけです。
宇部「おぉー、今度のは前のより大きいね」
旦那「そうなんだよ。いっぱい入るよ」
宇部「あっ、こんなところに穴が! これあれでしょ、イヤホンここから出せるやつでしょ!」
もうね、キャッキャとはしゃぐわけですよ。
私、未だにその穴からイヤホンを出したことがないんですよ。そりゃそうですよ。いまの私の技術と環境ではそんなバッグを作れない(ただ単にハトメパンチを持っていないだけとも言える)んですから。
だからもうすっげぇすっげぇって大はしゃぎして。
妻がはしゃいでいるので、旦那も得意気ですよね。
旦那「そうだよ。ここからイヤホン出せるんだよ!」
宇部「すっげぇ! 出そうぜ! 穴からイヤホン!!」
旦那「でも俺のイヤホン、ブルートゥース(無線)だけどね!」
宇部「――ブフォッ! そうだった! クッソ、てことはこれ完全にいらない穴じゃん!」
旦那「そうなんだよ。完全にいらない穴があいてる鞄なんだよ」
宇部「ひー、腹痛い」
旦那「この穴から水が入ったらどうしよう。パテで埋める?(そういう感じの仕事もしてる)」
宇部「パテって! そんなところから浸水しねぇから!」
旦那「せっかくだからお守り(厄除けのやつ)の紐でも出しとく?(チラッ」
宇部「やめろ! (私の腹筋が)死ぬ!」
たかだか新しい鞄でね、膝から崩れ落ちて笑った、っていうね。
私の笑いの沸点どうなってんでしょうね。
そういや、新しい鞄をAmaz○nさんで探しててびっくりしたんですけど、世の中にはイヤホンの穴があいている鞄だけではなく、モバイルバッテリーを搭載した鞄もあるらしくてですね。鞄から謎のコードが出ているという、何か背中にバッテリーを積んでるタイプのロボになった妄想が捗る感じのやつもありました。
鞄ってそうそう進化することはないと思ってたんですけど、侮れませんね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます