第850話 過ぎた贅沢

 私の好きな言葉の中に『身の丈に合う』というのがあります。分相応ってやつですね。でも子どもに着せるなら多少大きい方が――ってそういう話じゃなくて。


 この先きっと宝くじがばばーんって当たっても、スーパーは特売を狙うんだろうし、玉子は土曜にしか買わないし、やっすいインスタントコーヒーを飲むんだろうな、って。ユニクロは高いから、しまむらとかGUサイコーって着るんだろうな、って。


 もちろんその時になってみないとわからないんですけどね。


 なんでこんな話をしたかというとですね。


 ラップ、なんですわ。

 違います。YO! YO! Check it out! のラップじゃないです。

 食品用ラップ。たぶん、サランラップって書けば一発で伝わるんですけど、ほら、この子商品名でしょ? しかも今回登場するのサランラップじゃなくてクレラップなものだから。


 宇部家で使用してるラップはですね、CGCグループのやつなんですね。CGCグループってのはよくわからんのですけど、大手スーパーじゃなくてローカルなスーパーが加盟している、スーパーマーケットのグループ的なやつだったと思います。ローカルというか、そこまで大きくないスーパーというか。それはまぁ良いです。


 それでですね、私の中の勝手なイメージとして、やはりラップといえばサランラップとクレラップなんですよ。これが本物のラップ。美味しんぼの山岡さんが「一週間後、本物のラップをお持ちしますよ」って言って持ってくるのがこのラップなんじゃないかな? って。私は何を書いてるんだ。


 まぁそれも良いとして。

 ただですね、私の中でいちばん使いやすいラップって言ったら、このCGCラップなんですよ。上記のラップよりも薄くて柔らかくて、正直プラスチック系の食器にはあんまりくっついてくれないけど。


 そんなCGCラップが切れちゃって。

 買いに行けば良いんですけど、そのCGC加盟店のスーパーがですね、徒歩ニストの私には少々遠くてですね、お料理中でしたし。だから我が家のスーパーお使いマン・DAN-NAに依頼したわけです。とはいえ彼も疲れて帰って来ている身。そのスーパーまで行かずとも、とりあえず近所のドラッグストアで良いよ。今回はCGCのやつじゃなくて良いから、とりあえずラップなら何でも良いから、って。


 そしたら買ってきたのが本物(クレラップ)で。


 えっ、い、良いんですか。こんな高級品!


 もうね、おっかなびっくりで。

 私、こんな良いラップでおにぎり握って良いのかしら、とか何か毎朝変なテンションになるわけです。妙な緊張が走る。


 ただね、やはり庶民には過ぎた贅沢と言いますか、オーバースキルと言いますか、この子、プラ食器にもバンバンくっついてくる。性能の差を見せつけてくる。どんな食器に対応出来てこそですから、みたいなことを脳内に語り掛けてくる(幻聴)。


 その結果、どんなことが起こるかというと。


 私は毎朝、自分のお昼ご飯用におにぎりを握るんですけど、プラスチックの小鉢にラップを敷いて、その中にご飯を入れて握るんですね。上記でも述べた通り、CGCラップはあんまりプラ食器にくっつかないし、何ならラップ同士もそこまでくっつかないので、握りやすいんですよ。


 が。


 超優秀なこの子、容赦なくくっついてくれるものですから、小鉢に敷いたつもりが、ピーンと張られてしまってですね、イメージとしてはあれね、小太鼓の上にご飯乗せてる感じ。CGCラップなら多少その状態になっても、ご飯の重みで沈んでくれるのに。まぁ負けない。本物はご飯ごときに屈しないのです。


 ……使いづれぇ。


 これまでやっすいうっすいラップを使っていたTHE庶民の私にはですね、使いづらいことこの上ないのです。

 それとも何、クレラップを日常使いするような御大尽様は、ラップを使っておにぎりなんか作らないってこと? お昼ご飯はデパ地下に入ってるデリを利用しますって?!


 もうね、そのライスon小太鼓状態でね、何度おむすびころりんしかけたかわからない。いや、握ってないからまだ厳密にはおむすびころりんではないんですけど。


 もう早くもCGCラップが恋しい私です。

 せっかく買ってきてくれた旦那よ、ごめんな。君の妻はそういう女なんだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る