第848話 彼の初歌唱曲
何かね、最近息子が「カラオケに行きたい」とか言い出したんですよ。
これね、ものすごくびっくりするやつでして。
というのも、家族四人でカラオケに行ったのは過去に一度きりなんですが、その時彼は断固として歌わなかったんですね。もうひたすら映像を見て楽しむ人。
だから、まぁ楽しかったとは言いつつも、果たしてどうだか、と思っておりまして。
それが、急にですよ。
カラオケに行きたい、と。
とはいえ、世間はコ□ナ。
幸いなことに我々の市では新規感染者もおらず、まぁ、行けるだろうなとは思いつつも、日曜は私が仕事。行きたくてもなかなか行けるものではありません。
よし、それじゃあ思い切って私の仕事が終わった後、そこで夜ご飯も食べる感じで行こう!
ここ数日、お姑さんが体調を崩しておりまして(もう元気になりました)、子ども達には何かと我慢させていたものですから、頑張ったね、のご褒美も兼ねて行くことになりました。
さて、言い出しっぺの息子君、そんなに行きたいと言うからには、やはり歌いたいのかな? とハラハラ見守ります。ハラハラしながら食べるものをあれこれ注文。
すると、ああ、何と息子が!
あのやたら大きなタッチパネル式のリモコンをぴっぴぴっぴと操作して(旦那サポートあり)、いま、『予約』を! あの断固として歌わなかった息子が! 家では結構歌って聞かせてくれるくせにこういう場では決してマイクを握らなかった息子が!!
き、気になる選曲は――!?
『ウルトラマンゾフィーの歌』
ゾフィー!!
冠番組(って言うのかしら?)を持たないウルトラ警備隊隊長こと、みんなの頼れる兄貴分ゾフィー!
弟のピンチに颯爽と現れて何かと助けてくれるんだけども、私の中では、ピンチの兄弟の代わりに酷い目にあって助けに来たんだからやられに来たんだか、みたいなポジションになってしまってるゾフィー!
確かに最終的には回復した兄弟が怪獣をどうにかする感じですし、あくまでもサポート役と考えればその扱いで良いのかなとも思うんですけど、ゾフィーの頭が燃えた時はもうどうしようかと思いましたよ。
とまぁ、その強さは確からしいんですけども、私の中で噛ませ犬感がどうしても拭えないウルトラ警備隊隊長ゾフィー兄さんの歌が、彼の記念すべき初カラオケ歌唱曲となったわけです。
もちろんこれは宇部カーのハードディスクに入っているやつですので(つまり私の趣味)、彼はフルコーラス歌い切りました。少年少女合唱団が歌うやつなのでキーが恐ろしく高いんですけど、何せ彼も現役の少年であるからして。
で、食べながら歌い、楽しかった、と満足げな子ども達に聞いてみたわけです。
「今日はどのお歌が一番良かった?」
するとね、さすがはウチの子ども達、パパとママが思いっきり接待のつもりで歌ったプリキュアやら特撮やロボットアニメの曲をね、ちゃんと覚えててくれまして、あれも良かった、これも良かったってね、まぁ嬉しいことを言ってくれるわけです。
が、最後に娘が「でも、一番わたしがカッコいいと思ったのはねー」と言ったわけです。ここで「にいにが歌ったやつ!」とか言ってくれれば最高の〆だったんですけど、そんなことはなく。
「ママが歌ってた『お口のあるロボット』のやつ!」
それはジェイデッカー!
勇者警察ジェイデッカーだよ!
名前も覚えて帰ろうね!
第一話でママはクッソ泣いたよ!!
娘よ、お前にもわかるのかい!? あの良さが!!
何をどうしたらロボットに口をつけるという発想になるのかとその感性に一旦は驚くんだけれども、見ていると「むしろロボットって口があって良くない……?」って気持ちになるんですよね。ねぇ、だって口があったらしゃべれるし、食べられるし(何を?)ねぇ?
これを機にぜひとも勇者シリーズを見せてやりたいところなんですが、近所のTSUTAYAにないんですよねぇ。
ちなみに息子は水木の兄貴がマジンガーを歌っていることを何故か知っており、アニメ映像と本人歌唱が複数のモニターで流れるんですが、兄貴の方をめちゃくちゃ見てました。
で、息子は結局ゾフィー一曲しか歌わなかったのですが、さんざん褒めたら「次は二曲歌う」と言ってくれました。褒めて伸ばせ!
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