第845話 危険な思考

 先日、娘とお休みでして。


 普段のお休みはばあちゃんの家に行くのですが、ちょっと今回行けなくて。それでですね、娘と休みとなると、何かしらのアクティビティを用意しないといけないんですよ。


 一番手っ取り早いのがお菓子作りね。

 これが一番娘が喜ぶやつ。そして親サイドに何かと負担(手間とかカロリーとか)がかかるやつ。


 もっと気楽に外食に行ける感じだったら、近くのファミレスとかに行ってプチ女子会なんてのもやりたいなーなんて思ってるんですが、だったらお姑さんも誘って3人でやりたいし、と、今回は我慢。


 じゃあどうする?

 ケーキは作りたくないぞ? と前日から(仕事中に)頭を悩ませ……、


 よし、シュウマイでも作るか! と。


 ちょうど挽肉と玉ねぎのみじん切りストックがありましたので、前日にシュウマイの皮とグリンピースの代わりの緑色の豆を買って(グリンピース嫌いだから)、よっしゃどこからでもかかってきやがれ! といった面持ちで当日を迎えたわけです。


 で、まぁ、ぐっちゃぐっちゃになりながら何とか作りましてですね。限りなく餃子に近い何か(つまりほぼほぼ包まれたやつ)もありましたが、まぁご愛嬌ですよ。味もまぁそこそこな仕上がりで、娘は大層得意気で、「わたしの作ったシュウマイ美味しいでしょ!?」と。お前は包んだだけだろ! と思いつつ。


 それでですね、シュウマイに限らずですけど、餃子も手作りのご家庭ってあるじゃないですか。

 私の実家の餃子と言えば『みよしの』のチルド餃子でしたし、チャーハンは永谷園の素を使うし、麻婆豆腐も丸美屋です。それが普通だったので、皮からとまではいかなくとも、手作り餃子とか、チャーハンや麻婆豆腐も素に頼らない人ってすっげぇなぁ、と思うわけですけど、この先子ども達が妙な拗らせ方をしたら困るなぁ、とも思うわけです。特に息子ね。


息子「えっ? 俺の母さんはシュウマイも手作りだったけど? チンするだけとか、手抜きじゃない?」


 彼女にでもお嫁さんにでもね、こんなことを言うような男にはなってほしくないわけです。ほら、結構前に書きましたけど、ポテトサラダの話みたいなね。


 それはまぁこちらの教育次第というところもありますし、我が家でもどちらかといえばチンするだけとか、あとは揚げるだけとか、そういうのに頼りまくってるので、まさかまさかそんなことにはならないと思っていたんですが。


 思わぬところに、それがあったんですよね。


 娘が年長さんになり、毎月あるクッキングのため、エプロンと三角巾、それからマスクを用意してください、というお知らせが来た時のこと。ウチは既に用意済みだったのですが、同じクラスの従兄弟君はまだだったらしく、新しいエプロンを早く持って行きたい娘は毎日のように「ねー、そろそろエプロン持ってって良い?」とそればかりを繰り返しておりました。


宇部「まだ良いよ。まだ皆持ってきてないでしょ? クッキングの前の日とかで良いんだって」

娘「でもー、○○ちゃんとか○○ちゃんとかもう持ってきてたもん!」

宇部「それなら良いのかな……? でも従兄弟君はまだでしょ?」

娘「うん。従兄弟君、まだ用意してないって言ってた」

宇部「だからさ、従兄弟君が用意するまで待とうよ」


 そう言うと、


娘「でもさー、エプロンなんて、すぐ作れるでしょ? 早く作ったら良いのに」


 ――!!


宇部「娘よ、あのね。エプロンは作るお家もあれば、作らないで買うお家もあるんだよ」

娘「何で? ミシンないから?」

宇部「ミシンがないから……かはわからないけど」

娘「だったらさー、○○おばさん(従兄弟君の母)にミシン貸してあげたら?」

宇部「(旦那の兄嫁からそんなことされたら○○さんプレッシャーだろ)えーっとね、まぁ、もし、貸して、って言われたら、ね?」


 もうね、変な汗かきまくりましたよね。

 やべぇ、この子、エプロンとかお着替え袋とか、そういうのってめちゃくちゃ簡単に作れると思ってる! ていうか、作るのが当たり前だと思ってる!!


 料理についてはまぁまぁ大丈夫そうでしたが、思わぬところに伏兵がおりました。


 いつか息子が彼女かお嫁さんに、


「は? 何でマスクも縫えないの? え? 雑巾をいちいち買うとかおかしいでしょ」


 なんてことを言うような馬鹿野郎になってしまわないよう、気を付けたいと思います。


 良いかお前達。

 これはあくまでもママの趣味なんだ。

 ママの勝手な趣味をお前達に押し付けているということを忘れるな。

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