第834話 一玉、という挑戦状
先日ね、831話だっつってお野菜の話を書くとか書かないとかって騒いだ結果、結局ドレッシングの話したじゃないですか。
そういやお野菜の話もあるにはあるな、って思い出しまして。
一玉、って『圧』がすごくないですか。何かもう響きが。『玉』というからには、まぁまぁ球体のお野菜に使われるやつなんですけど、玉ねぎとかね、トマトなんかは『個』じゃないですか。響きが軽やかじゃないですか。
「玉ねぎ一個取ってー」
「オッケー♪」
みたいな軽やかさがあるじゃないですか。何ならその玉ねぎもぽーんと放って、パシッとキャッチ、ぱちりとウィンクを決めて目からは☆がばちこーん、みたいなね。そんな『※CM上の演出です』的なね、そんな軽やかさがあるじゃないですか。たぶんカレーのCMでしょうね。何の話だ。
でも、『一玉』ってなると、もうスイカとかかぼちゃとかそういう大物クラスになるじゃないですか。ずしっ、てくるやつ。
こんなの「スイカ一玉取ってー」なんて軽やかに要求したら、
「受け取れっ! おれのっ! ウォーターメロンアターック!」
とか言って、見開き目一杯使いつつ、それ絶対肩壊すでしょ、ってフォームでぶん投げて来ますよ。投げるのはスイカなのに演出が炎とかだったりして。『※CM上の演出です』って何のCMよ。ていうか何の話なの。
そうじゃなくてね。
いや、『一玉』ってそういう重量的な圧があるよね、って話なんですけど。それと共にね、
「果たしてお前にこの俺様が使いきれるかな?」
みたいな、そんな挑戦状を叩きつけてくる感があるよな、って。
だってね、キャベツとレタスがどっちも一玉98円だったんですもん。買うでしょ。そりゃ買いますって。
まだね、レタスは良いんですよ。あいつもちゃっかり一玉族(こうやって書くと王族みたい)に名を連ねていますけど、そこまでの重量感ありませんから。ギツギツに巻かれてるわけじゃありませんから。
問題はキャベツ。
いや、キャベツもですね? 料理によっては一気に1/4くらい消費したりするんですけども。
一玉どどんとあるとですよ。
何かこう……一枚ずつ剥いて使う感じにしないといけない感があるんですよ。半分に切られてるやつなら、もういっそズバッと包丁を入れるんですけどね。
「我に刃物を? 我、一玉ぞ?」
みたいな顔してるもんですから、えっ、何、ロールキャベツとかそういうの作れってこと……? って。私だけかもしれませんけど。
そんなわけでね、いま、どどんと一玉いるわけなんですけど、そんで冷凍庫に挽肉もあるんですけど、玉ねぎのみじん切りストックがなくてですね。
えー、じゃあどうするー? って。
苦肉の策でね、あっ、ハンバーグじゃなくてウインナーを包んでみたらどうだろ! ってピコーン! って浮かんだわけですよ。そんでコンソメで煮込んでさー、って。
途中から「それってほぼほぼポトフじゃね……」みたいな天の声が聞こえてきたんですが、一旦聞こえないふりして、レンチンして柔らかくしたキャベツの葉でウインナーを巻き巻きしてみたんですよ。
まぁ結局ウィンナーではキャベツの葉一枚だと大きすぎて半分に切ったんですけど(さんざん一玉がどうとか騒いだくせに)。
そんでコンソメで煮込んで、食べて思いましたよね。
あっ、これ普通にポトフ(我が家のポトフは玉ねぎ、人参、じゃがいも、キャベツ、ウィンナー)の味だな、って。
根菜がない分すぐ出来るって感じのポトフだな、って。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます