第816話 レパートリーなんてないのに

 メジャーな野菜ってあるじゃないですか。

 玉ねぎとか人参とかじゃがいも(通称『カレー三銃士』)とか。

 レタスとかキュウリとかトマトとか(通称『サラダ三銃士』)とか。


 あとは何ですかね。


 もう○○三銃士のネタが尽きちゃったんですけど、ネタが尽きたっていうか、いまパッと思いついただけのやつなんですけど。


 ああ、ナスとキャベツとピーマンもいますね。えっと、これは何三銃士なんでしょう。もう三銃士から離れろ。ああ、もやしにほうれん草、ごぼう、れんこんにかぼちゃ、大根辺りも入れてあげないと可哀相ですよね。結構いるな。


 え? アスパラととうもろこしを忘れるとか道民としてどうなの、って? いやいやごめんなさいね。アスパラは完全に忘れてたからアレですけど、私の中でとうもろこしってアレなんか野菜じゃないんですよね。じゃあ何なんだよって言われると弱いんですけど、あれはもうとうもろこしとしか。え、野菜なの? まじで。


 まぁとにかくですよ。

 今回も宇部の独断と偏見であれこれ書く感じなので、「えっ、これは定番でしょ?!」って思うところがあるかもしれませんが、まぁ宇部基準ってことでここはひとつご勘弁願いたい。


 だから私の中ではですね、ブロッコリーやカリフラワーなんかもどちらかといえばマイナーな野菜の方にカテゴライズされちゃうわけです。

 これであなたアーティチョークとかチコリーとかね、そういうのになりますと、マイナーもマイナー、円グラフでいうとめちゃくちゃ小さいところのやつですよ。こう、グラフ内に書き込めなくて棒線で円の外に『その他』って書かれてまとめられてる感じのやつ。


 まぁアーティチョークまでいかなくてもですよ。

 そのブロッコリー・カリフラワーレベルのマイナーベジタボーの中にですね、オクラがいるのです。私の中ではオクラはまだまだマイナーなのです。

 というのも、私の実家ではその上記のメジャーな野菜くらいしか食卓に上らなかったのです。ブロッコリーやカリフラワーはスーパーの野菜コーナーの飾りかな? って思ってたレベルですよ。


 いまとなっては当時の北海道にオクラが流通していなかったのか(そんなわけない)、それとも単に実母の料理スキルの問題なのか、それとも父親がNOと言っていたのか(父親がNOと言ったら基本食卓には上らない)はわからないんですけど、とにもかくにも、私は秋田に来て初めてオクラを食べたのです。何なら初セロリも秋田でしたね。結構セロリって苦手な人が多いイメージだったので、どれだけ苦いんだ(嫌われる野菜=とにかく苦いという先入観があった)と思ったら、苦いとかそういう感じじゃなかったですね。何かとにかく駄目でした。


 それは置いといて。

 そう、オクラの話なんですよ。


 それまでねばねばするものって言ったら、もう納豆か長いもか、みたいなところありましたから。それ以外のねばねばは全然食べてなかった私ですから、ねばねばルーキーにかなりびっくりしたわけです。何これ、めっちゃ美味しい! とかではないです。


 昔、ままごとでこういう感じの雑草を納豆に見立てて遊んだな、っていうのを思い出したんですよ。何ていう草なのかはもう全然覚えてないんですけど、とにかくねばねばする雑草があったんですよ。


 それでもオクラがスーパーでばばーんと並んでるとつい買っちゃうんですよ。私のオクラレパートリーなんてサッと茹でて刻んで納豆と混ぜたやつを冷奴にぶっかける、っていうのしかないのに。本当にこれしかないのに。まぁ冷奴じゃなくてそれをご飯にかけるのもカウントさせてもらえれば二品なんですけど。


 何で買っちゃうんだろう。

 大して味が好きとかそういうわけでもないのに。

 包丁とまな板がぬるぬるするのも本当は嫌なのに、どうして買っちゃうんだろう。


 そんなことを考えながら今日もオクラを納豆と混ぜ混ぜしてたんですけど、そこで気付いたんですよね。


 私、オクラを輪切りにした時の断面がとにかく好きなんですよ。

 あれめちゃくちゃ可愛くないですか?

 もしかしたら野菜の断面図で一番可愛いのってオクラなんじゃない? ってくらい可愛くないですか?

 じゃがいもなんて最高に美味しいですけど、あいつの断面少しも可愛くないですからね(やばい、こんなこと書いたらじゃがいも農家に消される)。

 

 私、この断面が見たいがためにオクラ買ってるんだ!


 そうなんだ。知らなかった! 自分のことなのに知らなかった!


 どこかにオクラの断面の柄の布売ってないかなぁ。

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