第797話 マエストロ現る

 先日、息子のPTA参観日だったんですよ。

 新年度一発目の参観日ですね。


 さて今回はどんな可愛いところ……じゃなかった成長を見られるのやら、とワクワクドキドキしながらいざ学校へ!


 するとですね、今回は1年生をお迎えする会でした。

 ミニ歓迎会みたいな感じでね。クラス単位でね。


 子ども達がね、司会とか全部やるわけですよ。

 総合司会みたいな子が6年生でね、各コーナーを他の学年が持ち回りなんですよ。


 おお、ということはウチの息子も何かしらのコーナー任されてるってわけね? スマホを片手に保護者席に座ります。私のすぐ前に座っている息子君はこちらをチラチラ振り返りつつ、「ママ、ぼくが頑張ってるとこちゃんと録ってね」と何度も念を押してきます。大丈夫、ママのスマホ新しいやつだからさ、容量とかもうすっげぇから。


 で、始まりました。ぱちぱちー!

 新一年生って小さくてとっても可愛い。

 そこで気付いたんですよ。


 あれ、どう見てもウチの娘(保育園児・年長)の方がデカくね……? 来年こっわ。

 

 そんなことに小ショックを受けつつ。

 

 まずは自己紹介。

 人数が少ないのでね? 全員がさらっと自己紹介。名前と好きなものの紹介みたいな。皆紹介したいものを持っています。上級生はハマっている本とかで、下級生は好きなものを印刷した紙でした。


 ウチの息子は一体何を紹介するんだろう。まぁだいたい特撮絡みだろうな、と思いつつ見守っておりますと、中央に立った息子がぺらりとその紙をこちらに向けました。


 あれは完全に仮面ライダー。

 目が悪いので細部までは確認出来ませんでしたが、色とシルエットから「BLACKかな?」と予想。


 が。


「宇部息子です。ぼくの好きなものは、『仮面ライダーZOゼットオー』です!」


 Zゼット Oオー ! 


 チョイス!

 知名度!!

 

 BLACKでもギリだぜ?!

 それでも、「ああ、今回リブートされるからね。それでかな?」ってレベルだからな?

 お前、ZOなんてママもいまいち知らんやつだぞ?!


 もうのっけから持っていかれましたよ。

 こんなの自宅だったら突っ込みの嵐ですよ。学校だから堪えましたけど。


 そんで次にミニゲームでですね。ボウリング的なピン倒しゲームをしたわけですけど、そのピンも手作りなんですよ。節分の鬼のぬり絵をね、思い思いに塗って(鬼滅の刃の煉獄さん(?)風に塗ってあるのもあった)、筒状に丸めた厚紙に貼ったやつなんですけど。


 息子が作ったやつ一発でわかるの。


 鬼の絵をキカイダー風に塗るな(顔が赤と青の二色で分かれてて、赤い方は上部がスケルトン)。


 チョイス!

 知名度!!


 あとから指摘したらめちゃくちゃニヤニヤしながら「何でぼくが作ったってわかったの~?」って。わかるわ! 


 極めつけは彼が司会を務めた歌コーナー。


 皆で合唱する、というコーナーだったんですけど、息子、まさかの指揮者!

 お、お前! 指揮なんて出来るんか?!


 その昔、合唱コンクールで指揮者を務めた(ピアノが弾けると伴奏者に選ばれてしまうので、それを回避するために立候補した)私はもう「やっぱり私の息子!」と大盛り上がりです。


 まぁ結論から言うと、指揮はまったく出来ていなくて、ただもう手をぷらぷらさせてただけっちゃーだけなんですけど、もう感無量ですよ。む、息子が皆の前で指揮してる! あっ、もう疲れてるっぽい! 頑張れ! 腕を下げるな!!


 その動画を見せた旦那の一言がね、


「マエストロの誕生では!」


 もうね、親って皆こう。

 我が子を見る目がもう基本こんな感じ。

 何やっても天才にしか見えない。


 ちなみにそんな熱い思いを連絡帳(という名の先生との交換日記)にぶつけますと、K先生も先生で、


「息子くんの指揮、可愛かったですね!」って。


 アイツいつまで可愛いキャラで行くんだろう……。

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