第724話 本場の味

 旦那と中華料理屋さんに行ったんですね。


 ここ最近は旦那のお仕事がお休み(大雪のため)なので、子ども達がいるとなかなか行けないようなお店にお昼ご飯を食べに行ったりするわけです。といってもあれですよ、ドレスコードがあるようなおフレンチとかそういうのではありません。そんなお店、たぶん私の住んでいるところにはありませんし、あったところで行きません。


 私にとって中華というのは、丸美屋の麻婆豆腐であったり、永谷園の五目チャーハンであったり、味の素のクックドゥなのです。それから餃子はみよしのと王将と味の素と――といった感じでして、本格的な中華なんてまぁ食べる機会もないわけです。そして一から作る気もないです(あっ言っちゃった)。


 それでですよ、まぁ、くるくる回るテーブルがあるような中華料理屋さんの、だけどもくるくるしないテーブルで、あれやこれやと注文しまして、美味しい美味しいって食べてたわけですが、ふと思ったんですよ。


 そこのお店、メニューも中国語で書かれてまして、もちろんフリガナも振ってありましたし説明もあったので、ドラマとかでよくある、カッコつけて適当に頼んだら全部サラダだった、みたいなことにならずに済んだんですけど、いや、中国語で書いてるってことは、やっぱり中国の方のお店なのかな? って。


 旦那に聞いてみますと、かなり昔からあるお店らしくて(それこそ旦那が子どもの時からある)、確認したことはないけど、たぶんそうなんじゃない? とのこと。


 何か中国の方が作ってるって思ったら、それだけでもうめちゃくちゃ本格的というか、これが本場の味なんだ! みたいな感じになりません? 私なんかは単純なので、その情報だけで三割増しくらいに美味しく感じましたもん。


 でもですよ。

 よくよく考えたらですね。


 もし私が仮に渡米したとして、片田舎で和食料理屋さんを出すとするじゃないですか。日本人が作る和食ですよ? 絶対そこの人達も同じこと思いますよ。


「えっ、ここの和食って日本人が作ってるの? ということはこれが本場の和食なんだ!」


 って。

 でもね、いくら私が日本人だからといっても、私は寿司も握れないし、魚だって三枚におろせないのです。だったらそもそも和食料理屋さんを出すわけもないんですけど。でもほら、寿司と魚ばかりが和食ってわけでもないですしね?

 日本の家庭料理、みたいな感じであればですよ。私のこの名もなき適当料理もある意味和食じゃないですか。本だし(昆布すら使う気なし)と醤油とみりん使ってりゃ和食じゃないですか。味噌でも良いけど。そんでそこにお豆腐とか納豆とかわかめとかひじきとかそういうの入れときゃ和食じゃないですか。


 だけど、日本人が作ってる、っていうだけでそこはかとなく本格的な和食感出るじゃないですか。だからそんな感じでもしかしたらそこの中華料理屋さんの中華も、本当は本場ではこういう味付けでもないし、作り方も全然違う、っていう可能性もなきにしもあらずなんですよ。


 って、さんざん失礼なことを書きましたけど、仮にそうだとしても、美味しけりゃ何でも良いです。


 結論としましては、美味しけりゃどこの国の料理でも、何人が作ってても何でも良いです。だったら1話丸ごと何だったんだ、今日の話。

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