第719話 2021年節分レポート

 節分、でしたね。

 もちろんこの話が投稿される頃には終わってますけども。


 ――何? また大豆の話かって? 大豆を撒いたって報告だろ、って?


 やだなぁ違いますよ。第一、大豆なんて撒かないでしょう? 落花生に決まってるじゃないですか。


 って話をたぶん何年か前の節分の頃にも書いたような気がしますが、北海道やら東北辺り(他にもあるみたいですけど)では落花生を撒くらしいですね。殻を剥けば食べられます。ケース入りなんて気が利くゥー!


 そんなわけで落花生で豆まきをするわけなんですが、今年からはあれですね、小袋に入ったやつ撒いてますね。なぜって、そのまま旦那のおつまみに出来るから。豆まきのタイミングって夕食後なんですけど、もう歯磨きも終わってますし、食べないんですよ、豆。年の数だけ食べるまでがセットなんでしょうけども、アラウンド40フォーティー分もの落花生なんてさすがに食べたくないのよママは。


 さて、今年は何でか知りませんけど、124年ぶりに2月2日が節分だったようですね。私、節分って2月3日で固定されてると思ってたものですから(何せ生まれてこの方節分といえば3日でしたし)、いきなり前倒されても困るわけです。なぜって、2日は遅番だったんですよ。でも、3日だと思ってましたんでね? よーし、3日は早番だし、いっちょ何かしらの巻き寿司でも作りましょうかね、なんて思ってたわけですよ。


 そしたらアナタ、そのよくわからない大人の事情的な大きな力が働いて、今年の節分は2日と来たもんだ。


 というわけで、その日の晩御飯は旦那特製鬼カレー(6Pチーズの角と、細切りのにんじんやら魚肉ソーセージで顔を作ったやつ)になりました。そんで次の日、もう巻き寿司が面倒になったので(オイ)、手巻き寿司に。


 さてさて、そんな節分メニューはおいといてですよ。やはり毎年気になるのはアレです、アレ。娘が通う保育園の毎年恒例、本気を出した園の先生達によるトラウマ植え付けイベントこと『ガチな鬼(ていうかナマハゲ)による豆まき大会』です。


 この日は阿鼻叫喚の地獄絵図、可愛い可愛い園児達は上からも下からも出せるだけの液体をジャンジャン横丁です。


 しかし娘も年中さん。今年は年長になるお姉さんです。さすがにそこまでは泣かないだろう、とは思いつつ。


「娘ちゃん、今年は大丈夫ね? 鬼さん、怖くないね?」


 と確認しますと、何とも複雑な表情で「どうかなぁ」と。いつだって自信満々に膨れているむちむちほっぺも心なしかしょんぼりです。


 そんなこんなで娘と息子を送り出し、もうそれこそドッキドキのワックワク(私が鬼か)で仕事を終え、お迎えに行った旦那から話を聞きますと――、


 やはり号泣したとのこと。

 そりゃあ勝てませんって。ナマハゲですもん。ガチのやつなんですもん。あれ誰の私物なんだろう。園長先生の?


 さらに旦那は続けます。もう目尻が下がってデレデレしています。


「それがさ、先生が言うわけよ。『娘ちゃん、可愛かったですよ』って」


 ほう? 何がどう可愛いとな?


「『パパー!! パパー!!』って泣いてたんだって(デレデレ」


 そ れ は 可 愛 い !


 クソッ、ママはお呼びじゃねぇのかよ!


 まぁ、確かにこの家でナマハゲに立ち向かえそうなの誰だって言われたら旦那かもしれないけれども。ママだってね? いざという時にはね? ありとあらゆる手段を使って君達を守る所存ですよ? ただね? 君ら鬼だ鬼だって騒ぐけれどもね? こと秋田の――この保育園の場合は、鬼じゃなくってナマハゲなんだ。ナマハゲったらアンタ、神様なんだ。神様に包丁振り回してよいものかと、ねぇ。包丁振り回す気だったのかお前。


 そんで、娘ちゃんの可愛さにきゃあきゃあしてたらですね、調理台の上に謎の紙コップが置いてあるんですよ。半透明のビニール袋に入った紙コップです。


宇部「何これ」

旦那「ああ、これね。これは息子君が学童保育でもらったやつなんだけど――」


 なんだけど?


旦那「ママの分を持って帰って来たんだって」



 息 子 ! 

 お 前 も か !


 ちっくしょう、お前も最高に可愛いな!

 そういうもんじゃねぇから食って来いよ!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る