第628話 NO MUSICのラブソング

 ちょっと気を抜くとまぁーたストックが切れてしまうわけです。

 特にこれといって面白いネタが降ってくるわけでもなく、宇部家が誇るスーパーネタ工場のカリスマネタ工員達も何だかいまいちパンチが弱い気がしたりしてね。


 いや、家ではね? 結構な爆笑ネタがあったりするんですけど、これ文章にして果たして面白いのかしら……? みたいな感じなんですよ。再現VTRなら何とか笑ってもらえる気がするんですけど、この私の文章力ではどうにもね、っていう。


 ですが、私も(作家)生活がかかってますから。

 日刊エッセイ職人としてどうしても落とすわけにはいかんのです。

 そう考えるとすごいですよね、新聞に四コマ書いてる漫画家さんって。小さい頃は正直、


「今日の四コマいまいちだったな」とか、

「今日の四コマ、ちょっと意味がわかんない」とか、


 いま思えばかなり失礼なこと言ってたな、って。


 お前、その四コマを埋めるのに、どれだけのものを犠牲にしてるかわかってんのか、と。

 いや別に良いんですよ。読者がどんな感想を持とうとも。だけれども、いざ自分が毎日発信する側になりますとね、こんなくっだらねぇ文章でも結構な時間を要していたりですね、色んなものを犠牲にしてたりするんだな、って気付くわけです。まぁ主に犠牲にしてるのは睡眠時間とか、お裁縫の時間なんですけどね。


 とまぁそんなこんなで安定の字数稼ぎをさせていただいてですね、今日は先日の夕飯時に息子の口から飛び出した謎の言葉を紹介しようかな、って。


 その日の宇部家のお夕飯は、肉まんでした。


 ちょっとちょっと宇部さん。

 さすがに肉まんはないでしょうよ。

 育ち盛り食べ盛りのお子さんがいるのに、肉まんだけ与えてハイおしまいとか、それ立派な虐待よ? そんな人のエッセイなんてもう読みません。フォロー外します。


 そう思われた方もいるのではないでしょうか。


 まぁ待ってください。

 フォローを外していただいても全然結構なんですけど、まぁ私の言い訳を聞いてください。


 肉まんってまず美味しいじゃないですか。

 肉まんが最高に美味しいシチュエーションとしてはですよ、やはり木枯らしピューピューの寒い日、そうですね、塾の帰り道とかそういうのが良いですよね。ふらりと立ち寄ったコンビニで肉まんひとつだけ買って、それを真ん中からふかっと割ってですよ、湯気がもふぁって出てですよ、それをぱふっと一口。あああああつうぅ! でも、美味い! みたいなね。まぁ、塾なんて通ったこともないんですけど。それは置いといて。


 まぁとにかく肉まんってそういうシチュエーションも込みで最高に美味しいじゃないですか。でも、食べる度にちょっと物足りなく思ってたんですよね。


 もっとたくさん食べたい。

 何なら肉まんでお腹いっぱいになってみたい。

 でもお腹いっぱいになるだけの肉まんを買っても、外で食べてたら2個目の肉まんは確実に冷めてしまう。

 じゃあどうしたら良い?

 そうだ、室内で食べれば良いのだ!

 

 そうなるじゃないですか。

 それじゃあスーパーで冷凍の肉まん買って、もう好きなだけ食べちゃえば良いんじゃん? よっしゃ、こうなりゃお前達(家族)も道連れDAZE?!


 ってね。


 というわけで、幸いなことに旦那も快諾してくれましたんでね、やってみたいことやっちゃおうぜ! ってことでの肉まんパーティー(ピザまんもあるよ)が開催されたわけです。それだけじゃ寂しいので、玉子スープとか、一口上げ餃子も出しましたが。ま、インスタントのスープとお惣菜なんですけど(テヘペロ


 で、ふかふかもふもふと肉まんを食べてですね、最後1つ余ったわけですね。子ども達がお腹いっぱいとなれば、そりゃあ大人が食べるっきゃないわけです。食べて良いよ、と旦那に勧めますと、


「よし、それじゃあ半分こしようか」


 となったわけです。


 そうね、半分なら食べられるかな、などと思っておりますと、息子が言うわけですね。


「パパとママでラブソングだね」と。



 ――?!

 ラブソング?

 何の話?


「息子君、ラブソングって何……? いきなり何……?」

「知らないの? こうやってー、はんぶんこしてー、食べるでしょ。そしたら、ラブソング」


 半分こして食べたらラブソング?!

 そんなの初めて聞くラブソングですけど?!

 昨今のミュージックシーン、そんなことになってんの?!


 最早音楽なんていらない。

 半分に割って食えるものさえあれば良い、って?

 NO MUSIC・NO LIFEとかそんなレベルじゃないんですよ。ただひたすらNO MUSIC! 咀嚼音のみでお送りします!


 一体どこで覚えて来たんだかわかりませんが、まだまだ息子は良い仕事をしてくれるみたいです。


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