第604話 松清20分くらいクッキング
ここ数日、ナスの輪廻から解脱出来ない宇部家です。
ナスの輪廻って何よ、って思われたかと思います。この『輪廻』という表現ですが、宇部家ではよく出て来たりするのですが、単に『絶え間なく供給される感じが何か輪廻っぽいよね』という、そんなニュアンスです。このエッセイではこのように、『何かそれっぽいよね』という理由だけで使用される表現が多いので、真に受けて日常的に使わないようにしましょう。ご使用の際は自己責任でお願いします。
というわけで、何の因果かナスが尽きない我が宇部家。
あの手この手でナスを消費していたのですが、私のナスレパートリーなんてたかが知れているもので、あっという間にネタも尽きてきます。ナスより先にネタが尽きたというわけです。
でもまぁ、ほら、なんて言いますか、料理の世界には特に名前もないような料理があるわけですよ。もうとにかく野菜を色々ぶち込んで炒めた感じのやつですとか、それを煮たりするですとか、要は「今日のご飯何?」って聞かれると困るやつですね。「えーと、ナスとか、ニンジンとかをあれやこれやで何やらしたやつ」みたいな説明になりますから。
で、そんな感じでお茶を濁していたある日、旦那が言うわけです。
「何か……ナスのスパゲティとか、どう?」
ちらりと視界に入ったのは、カットトマトのパック(缶詰よりもこっちの方が好き)。こりゃあナスとトマトでやるっきゃねぇ。よしよし、あとはひき肉を買ってくれば――、
で、ひき肉を買い忘れるのが私ですよね。
うおおおおおお、どうするのよこれ!!
でも、買いに行かないのも私です。
だってもう着替えちゃったし。
ひき肉がないのなら!
ウィンナーをみじん切りにしたら良いじゃない!!
というわけで始まりました、松清20分くらいクッキング!
まずは玉ねぎとウィンナー、ナスをみじんぎりにします。涙をこらえてざくざく切ります。多少粗くても気にしないのがポイント。これ、そういうやつだから、の一言で黙らせます。
さーて、ここでフライパンにオリーブオイルを……まぁ、あったらオリーブオイルなんでしょうけど、なかったのでサラダ油でOKです。それでじゃんじゃか炒めます。味付けは塩コショウと顆粒コンソメ。とにかく洋っぽい料理にはコンソメ入れときゃ良いと思っている私です。ちなみに跳ねるのが怖いという理由で、揚げ物以外はフライパンを熱する前に食材と油を入れる派です。たぶん問題ないはずです。
そんで、まぁこんなもんだろ、って感じになったらトマトを投入。あー、もうちょっとナス消費したいなーって思ったので、ここで輪切りにしたナスも入れたのですが、さすがに中々柔らかくならず、本腰入れて煮込む体勢に。そのせいで汁気がなくなったので、何度か水を足してます。
おっと、いっけね、麺を忘れてた、ということで、ここから麺を茹でます。大丈夫、汁気がなくなったらまた水入れりゃあ良いし。私の料理なんてそんなもんです。
というわけで、麺が茹で上がる頃には案の定汁気が乏しくなったので、麺のゆで汁を投入。ここで裂けるチーズが残ってたことを思い出すというファインプレーにより、裂けるチーズも裂き裂きして投下。
なんてことをやってどうにか料理は完成。
案外子ども達からも好評でした。具材は全然みじん切りレベルではなかったですけど。
最近娘ちゃんは食べた後に、今日の一番美味しかったものを報告してくれます。
その日はそのスパゲティしかなかったので、さすがに今日はないだろう、と思っていたのですが、
「今日いちばんおいしかったのはねーぇー!」
と始まったわけですね。
えっ、これで食後のゼリー(パウチのやつ)とかだったらさすがにショックなんだけど。とハラハラしておりますと――、
「めん!」
麺なのでした。
麺ってことはお前、具材はそうでもなかったってこと?!
娘は無邪気に母のハートをえぐってきますね。
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