第556話 そのファッションで?

 いまってアウトドアブームじゃないですか。知らんけど。何かソロキャンプとかね、そういうのも流行ってるじゃないですか。


 もちろん私といえば生粋のインドアっ子(『子』ってお前)で多少名を知られた存在ですので、テントを張るとか、火をおこすとか、それでご飯炊いちゃうとか、そういうことは全然興味ないんですけど。いや、そこまで全部お膳立てされてたらちょっとは良いかもって思いますが。つまり、テントも張られてて、火もおこしてもらえて、ご飯もそこで作ってもらえたら――って、それじゃただ単に外で飯を食ってるだけですね。


 でも、自然は好きなんですよ。

 草の匂いとかね、良いじゃないですか。こちとら田舎生まれの田舎育ちなんでね? 噂によると、都会の人はあのカエルのゲコゲコいうやつが聞こえるらしいですね。え? 何を言ってるんだって? いや、毎晩毎晩当たり前のようにゲコゲコ大合唱されてると、聞こえてるけど聞こえないみたいな感じになるんですよ。セミのミンミンジージーは正直ちょっとうるさいって思うんですが、不思議とカエルのゲコゲコて気にならなくなるんですよね。私だけかな。


 自然は好きだけど、何が嫌って紫外線と虫ですよね。

 紫外線がどうにかなって、そんで虫が出ない環境であればもう全然良いんですけど、そうなると完全に屋内ですよね。


 比較的女性はね、女性っていうか『女子』の方が良いのかしら、女子はですね、その辺私と同じなんじゃないかな、って思ってたんですよ。


「えー? キャンプとかー、日に焼けちゃうしー、虫とか出るしー」みたいな。


 ところがどっこい、昨今の女子の中にはですよ、むしろそこへ飛び込んでいくタイプもいるらしくですね。女子の間でも流行ってるみたいなんですよ。えー嘘、まじ?


 まぁ私も見る分には好きです。ほら、かなり前にね、『イケメンおもてなしキャンプ』の話も書きましたしね。見るのは好きです。わー、こんなところで寝起きするの楽しそー! ご飯美味しそー! えーいまアウトドアってそんなことになってんのー?! みたいなね、ワイワイしながら見るのは好きなんです。でもやるとなると話は別。


 でも、先述の通り、見るのは好きなものですから、その女子キャンプを題材にした作品を見ようかな、ってね。一応作品名は伏せておきますが、アニメやドラマにもなったやつですね、Amaz〇nPrimeで無料だったということもあり、何だかキャッキャウフフな予感のするドラマの方をね、見ーましょ、って。



 私には合わなかったですね。15分くらい見て、何か違うと判断し、止めました。ただ、女優さんはめちゃくちゃ可愛かったです。


 これ私がおばちゃんだからなのかもしれないんですけど、えー嘘、そんな恰好でキャンプするの? そんなひらひらしてるの着て焚火とか大丈夫?! ってそういうのばっかり気になっちゃって。

 でもね、私は何度も言うようにスーパーインドア人間ですから、そんな偉そうにファッションチェックする権利なんかないんですよ。

 だってその女子はもう(作中では)百戦錬磨のソロキャンパーなわけですから。だから、私がそのファッションについてやいやい言うのはお門違いも甚だしいわけです。でもね、気になっちゃう。もっとこう……ポケットがいっぱいついたあの釣りする人が着るようなベストとか、そういうやつじゃないの? 髪の毛もそんなふわふわさせてたら邪魔じゃない? もっときっちりまとめなくて大丈夫? ってね、もう老婆心っていうかね、ガチの老婆の意見ですよね。


 何かもう女子ってすごいな、って感心しきりですわ。どんな時でもオシャレを忘れてない。成る程、こうやって心身ともにおばさんから老婆になっていくんだな、って思いましたね。

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