第550話 やってみたかったやつ
私ね、まぁ皆さんもうすうす感づいていらっしゃるんじゃないかな、って思うんですけど。まぁ人見知りでしてね、いまの言葉でいうところの『陰キャ』なわけですよ。エッセイではね、こんなノリノリですけどね(言うほどノリノリでもない)、リアルではもうとにかく挙動不審のモジモジおばさんなわけです。
それでも学生の頃はですね、そりゃあ友達もおりましたし、それなりに青春も送ってはいたと思うんですけど、やはり色々と心残りがあったりもするわけですよ。ああ、若い頃にもうちょっと無茶しても良かったかな、みたいな。若気の至りに至っておけば良かったな、みたいなのがあるわけですよ。
どういうやつかって言ったら、やっぱりアレですよ。
運動部のマネージャーとかね。
どんな部活であってもルールなんてひとつもわからない自信しかないわけですけど、まぁ、タオルを洗うとかね、何かしらの記録? をね、とったりですとかね。そういうやつならね? 全然出来ますから。何ならね、おにぎりとかね、じゃんじゃん握るしね? そういうお母さんポジションっていうか……あれ、これおかみさん? 相撲部屋のおかみさんじゃない? これじゃ恋も生まれないよ! どすこい!
何かあれでしょ、マネージャーってお守りみたいなの作るんでしょ? もう作る作る。おばちゃんそういうの得意やで? って何で関西弁になったかわかりませんけども。そんで、あれ、ミシン使って良いやつ? ちょっと偉そうなこと言ったけど、おばちゃん手縫い苦手なのよね。ミシンでだだだっとやっちゃうから。え? 何? フェルトなの? あー、それなら手縫いかー。よっしゃ仕方ない、やるやる。君ら、全国大会行くんやろ? そんならおばちゃんも一肌脱ぐけぇ。
もう私はどこ県民なんだ。そんでさっきからおばちゃんおばちゃん言ってるけど、マネージャーじゃなかったのか。
そんで何か、おそろいのTシャツとか作ってね、応援に行ったりするわけですよ。
絶対私、そういうのしないからね。応援とか、我が子のならまだしもねぇ、屋外とかもう勘弁してくれって感じですよ。君らは相手校と戦っているかもしれないが、私も私の戦いがあるんだ。敵は紫外線なんだ。日焼け止め、つばの広い帽子、UV加工パーカーで迎え撃つわけですよ。たとえどんなに暑くとも、私はこれを脱いだりはしない。日焼け止めを20分おきくらいに塗り直す仕事があるので、君らの応援に熱が入らなかったらごめんな(最低)。
とまぁそんなことを書いてて思ったんですけど、やっぱり駄目だな、マネージャーは。
でもなんか、こう……マスコット制作とかね、おそろいのTシャツとかね、そういうの憧れるんですよ。結局『作る』っていうところへの憧れなだけかもしれないですけど。キャッキャしながらそういうの作りたいだけかもしれません。オリジナルって言葉に弱いタイプ。
そんな思いがね。そんな思いが暴走してね。酔ってるわけでもないのにね。何せ飲まないからね。しらふなのに暴走してですね。
オリジナル布タグをオーダーしましたよ。スミスミシンのね。イメージは例の手芸店『スミスミシン』の商品のタグですよ。まぁ、本編に書いてるタグとは違うんですけどね。
布タグってあれね、バッグとかについてるやつね。そのブランドのロゴとか書いてるやつ。
オーダーっていっても、セミオーダーっていうんですかね、書体とかフレームとか、ワンポイントとか選ぶんですよ。それをね、何かそういうよくわかんない気持ちが暴走してオーダーしたわけです。怖いですよね、夜のテンション。深夜でもないのに。20時とかですからね。何やってんだ私。
そんなわけですので、届き次第、これを使って色々作ります。然太郎(スミスミシンのイケメン男性店員)のふりして作りますわ。
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