第542話 『上級生』の
ちょっとまたネタが厳しくなってきたのでね、そんな時はやはり子どもの話だな、と。やはり動物と子どもの話は鉄板ですから。鉄板で数字とれますから。
まぁ、このエッセイの場合、PVは割と低い位置で安定しているので、子どもを出したからといって爆発的に伸びるとかはないです。ただ、拓哉回だけは謎の高PVを叩き出しましたが。あれはほんと謎。腐ってもJの者、ということなんでしょうか。
さて、話はすごろくの日に戻ります。
出来上がったすごろくの余白には、ちょっとしたイラストが描かれているわけです。私は猫やら狐やら、家族の顔やらを描きまして、娘も何か謎の生き物を描きました。そして息子は、というと、さすがは年間360日絵を描いている男、もう何も見ずにライダーの顔を描いていきます。
私もね? 1号ライダーとかV3とかストロンガーとかね? そういう昭和のやつは描けますとも。ただね、平成は無理。細かいから。あいつら細部にまでこだわりまくってるから。
が、息子は描けます。
彼はいきなり、仮面ライダーウィザードを描き、Wを描き、クウガを描きました。ママは恥ずかしながらクウガとアギトの違いがわかりません。それから、昭和も忘れてねぇぞ、とアマゾン、そして、X。どれも特徴をつかんでいます。で、描き上がった彼らの口元には吹き出しがありまして、『がんばれ!』とか『ファイト!』とすごろく参加者達を応援してくれています。なかなか心憎い演出です。
さて、そんな豪華ライダーの応援つきすごろくで遊んでいた時のこと、『ファイト!』のゾーンに差し掛かりますと、息子が彼なりの声真似で「ファイトだよ!」とライダー達に命を吹き込んでくれます。
それを聞いた娘も「パイト、パイト!」と乗っかります。彼女はまだ『ファイト』という言葉を正しく知らないのです。『ポムポムプリン』を『ゴムゴムプリン』だと思っている娘です、『ファイト』なんて難しすぎるのです。
その『パイト』で思い出したんでしょうね、「パイトパイトパイトのぐーりんがんぐーりんがんの……」と寿限無っぽいのをしゃべり出したのです。
まぁ、『パイト』でもなければ『ぐーりんがん』でもないのですが、ちょっと感動しますよ。まだそこまで字が読めませんので、『にほんごであそぼ』でやっていたのを耳で覚えたんだろうな、かーわいいっ、とサイコロを振ってひとつ進んだり恰好良いポーズをしたりしながら見守っておりますと、
「とんととぴーのとんととなーの、上級生のちょうすけさん!」
上 級 生 ?
さっきまでたどたどしく絶妙にほとんど間違えて暗唱していた『寿限無』ですが、彼女はそこだけやけにはっきりと言ったのです。
「『上級生』のちょうすけさん」と。
誰だよ、上級生のちょうすけさん。
まぁ、『寿限無』自体、それぞれに意味はあるといっても謎の集合体みたいな名前ですけど、一際異彩を放ちますよ。上級生。一体誰の名前なんだ。寿限無の名前じゃなかったのか。上級生の名前なのか。
あと、せっかくだからここに『寿限無』の全文を載せて字数を稼ごうかと思いましたが、さすがにそれはフェアじゃないと思い、スポーツマンシップに則って止めました。スポーツマンじゃないけど。
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