第531話 ムーンライト
違いますよ。
女性向けのR18小説サイトではありません。
いや宇部さん、何で『ムーンライト』が女性向けのR18小説サイトだって知ってるのよ、って?
やだなぁ、普通に生きてたら知りうる情報ですよそれくらい(嘘)。
いや、なろうにちょこっと籍を置いてましたんでね(いまも置きっぱなしですけど)、なろうで活動しているアマチュア女WEB作家ならその存在を知ってるはずです。何も恥ずかしいことはないっ!
とまぁ、そっちのムーンライトではなく。ましてや伝説の方でもなく、あれですあれ。クッキーのムーンライト。森永のね。青い箱の。とことんシンプルなクッキーです。
私、甘いものは大好きなんですけども、クッキーって昔あんまり好きじゃなかったんですね。
何ていうか……水分を感じるというか。そんなわけはないと思うんですけど。ビスケットはパサパサしてるけど、クッキーってビスケットに比べるとパサパサしてないというか、たぶん小さい頃にそういうのを食べたとか、そういうやつだとは思うんですが。
シナモンが入ってないやつでも、何か独特の香りみたいなのがあって、特にあのマヨネーズの容器みたいなやつでうにゅーって絞った形のやつが苦手でした。
私が食べられるクッキーと言えば、チョコがかけられているやつとか、チョコチップが練り込まれてるやつとかで、とにかくそのメインじゃないチョコの部分を味わうため、しぶしぶクッキーも食べる、みたいな感覚だったんですよ。
ただ、これきっと私だけじゃないと思うんですけど、『お菓子売り場とかパン売り場を通過する際に、食べたことがないやつが無性に食べたくなる病』ってあるじゃないですか。え? ない? いや、私はあるんですよ。これ持病なんですよ。まぁ、本当にガチで食べたことのないやつのこともあれば、恐らく一回くらいはどこかで食べたことがあるやつもあるとは思うんですけど。
しるこサンドとか、シベリアとか、カステラサンドとか、ウエハースサンドとか。
……ってさらっと書きましたけど、ついてこれてます? これご当地系じゃないですよね? 全国区のやつですよね?(自信ない)
まぁとにかく、見た目がものすごく美味しそうで――とか、お腹空きすぎて極限で――とか、何らかの買い占めによってそれらしか売ってなくて――なんて事は一切ないんですけど、何か無性に食べたくなるんですよ。でも、わずかに残っていた理性がですね、「いや、止めとけって」って耳打ちしてくれるので、食べるには至っていないんですが。
というわけで、これまで森永のあの箱のシリーズ(伝わるかしら)では、チョコチップクッキーかマリービスケット、もしくはリーフィ(チョコがかかったパイ)だったんです。
だったんですけど、そう、そこで例の病がですね、ひょっこり顔を出したんですね。
「ねぇ、そこの『ムーンライト』っていうクッキーめちゃくちゃ美味しそうじゃない?」
今度ばかりはいつもは冷静に止めてくれる理性さんすらも、「わかるー」と病に加担する始末(たぶんダイエットしてるせい)。こうなるともう買いますよね。そんで、ブラックのコーヒーと共にいただきますわ。
……あれ、美味しい。
チョコもかかってなければチョコチップも練りこまれていないのに!?
何かですね、こういうシンプルなやつが美味しく感じるようになると、ああ、大人になったんだな、って思いますよね。いま私、めっちゃ大人!
いや、アラフォーの癖に何言ってんのお前。
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