第451話 1999と隕石
さて、2日続けて息子君のお話です。どうした娘、最近君からの面白エピソードがないぞ。いや、あるにはあるんですけど、娘の場合は映像向きと言いますか、文章にするのが難しいんですよね。いまのママの筆力では無理なんだ。ごめんな。
で、息子君のお話なんですけども、その前に。
皆さん、1999年と聞いて何を思い出します?
そう、ノストラダムスの大予言ですよ。
これを知った時、とりあえず計算しましたよね。えっと、99年って、私いくつになってるんだろう、って。そしたら、まぁ高校生ですわ。
何歳でこれを知ったんだかもう覚えてないんですけど、「まぁ、高校生ともなれば、きっと色んな楽しいことをたくさん経験してるだろうし、悔いはないかもしれない」とか思ってたんですよ。
が、ですよ。
いざ受験も終わって高校生活が始まりますとですね、ちょっと思ってたんと違うな、みたいなのがあるわけです。
あれれ、おかしいぞ、と。
私の人生設計では、彼氏の一人や二人が出来ているはずだったが?
もう全然悔いがありまくりなんですよ。
えっ、こんなんじゃ全然死ねないんですけど!?
で、その99年が近付いて来るとですよ、テレビの方でも特番を組んだりするわけですね。その時によく流れていたのが『カルミナ・ブラーナ』というカンタータでして、もうしばらくはこの曲が怖くて怖くて仕方なかったですね。
その頃になりますと、もう毎晩毎晩7月になったら地球は滅亡しちゃうんだ、みたいなことばっかり考えて枕を濡らすわけですよ。7月に地球が滅亡するのに何で勉強とかしなくちゃいけないんだとか思ったりして。それでも明日の先生の叱責もおっかないもんですから、それなりにやるわけですけど。
まぁ、普通に7月も過ぎて、全然滅亡しなかったわけですよね。
さて、そんな思い出話を挟みまして、息子君です。
帰り道、おててを繋いで歩いておりますと、尋ねてくるわけです。
そう、お花をもらった帰り道のことです。家まではあと200mといったところでしょうか。
「ママ、隕石が落ちてきたら、どうしたらいいの?」
――??
何? 隕石が落ちてきたら?
「隕石が落ちてきたら、どうやったら、地球をまもれるの?」
――??
地球をまもる?!
答えに窮するわけですよね。
まず、隕石が落ちてくる、ってなったら、さすがに我々一般人にはどうすることも出来ないわけです。とはいえもちろん隕石の規模にもよりますよね。小石程度でも宇宙から落っこちてきたら、そいつはもう隕石ですから。
でもここで『地球をまもる』なんてワードが飛び出してしまいましたから。どうやら息子が言うのは、小石程度のやつではなく、地球存亡の危機レベルのやつなのです。
こうなるともういよいよもって我々のような何の力もない一般人にはどうすることも出来ないわけです。その隕石が案外そうでもなかったという可能性にかけて、そして、居住地からうんと離れたところに落ちてくれることを祈って、それでもかなりの衝撃はあるだろうから、とりあえず机の下にでも潜っておくかな? くらいのことしか思いつかなくてですね。
「ええとね、たぶん、隕石が落ちたら地震みたいにぐらぐらーってなるはずだから、机の下に隠れておこっか」
なんて、馬鹿な回答しか出来ないわけですよ。ごめんな、息子。ママって正直頭悪いんだ。パパが帰ってきたらパパに聞こうな。
と、軽く考えてですね、旦那の帰宅を待ったわけです。
で、旦那が帰って来てからそれを話したわけですけど、そりゃあ旦那も笑いますよ。
「はっはっは、息子よ、大丈夫だ。その時はきっと国の偉い人が核爆弾とかを使ってどうにかしてくれるから」
とはいえ、旦那もこれくらいのことしか言えないわけですよ。いやむしろ、これ以上のこと言えます? 私には無理ですね。
さすがに子どもですし、『爆弾』なんてワード出しときゃ納得するかな、なんて思ってたんですけど。
「じゃあ、『くにのえらいひと』に連絡してよう」
と、言って、しおしおしょぼしょぼと泣くわけですよ。ええええちょっと?!
息子をなだめながら事情を聞きますと、どうやら宇宙の本(ちっちゃい図鑑)で隕石が落ちてきて地球が――というのを読んだらしく、怖くなってしまったとのことでした。
もうね、宇部家総出でね、スクラム組む感じでね、息子を中心にね、おーってやりましたわ。娘も何か知らないけど、「おー!」ってね。もう総出で励ましましたわ。
「落ちない! 隕石なんてもう絶対落ちて来ないから!」
断言しましたわ。
落ちて来ないって言っちゃいましたわ。何の根拠もないのに。
まぁ、それで納得してくれたので良しとします。
ちなみに旦那はノストラダムス全然気にしてなかったみたいなので、この点に関しては息子は私に似たようです。
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