第450話 息子、またも。

 やっとこ学校がフル授業をするようになりましてですね。すれ違う子ども達のお顔にマスクの花が咲いてる以外はまぁいつも通りの日々が始まったな、みたいなところでございます。


 さて、仕事がお休みの日は学童保育を利用出来ないため、息子のお迎えに行きます。まぁ、「勝手に帰ってこーい!」でも良いんですけど、道幅が狭かったり(というか歩道がない)、線路があったりするので、まだまだ心配なものですから。自転車はそろそろ息子の体重的にアウトっぽくなってきたので、徒歩です。おてて繋いで帰るのです。


 息子はママと帰れるのが余程嬉しいと見えて(そうであってくれ)、お歌も歌ってノリノリです。ただ、そのお歌が、スポンジボブのオープニングで、「準備は良いかねぇー!?」「アイアイキャプテーン!」という部分から始まるもんですから、そのアイアイキャプテンは当然私が言わなくてはならないわけでして。


 時折声をかけてくる児童達に会釈しながら、「あ、アイアイキャプテーン」ですわ。でも息子キャプテン許してくれませんから。「聞こえないぞぉー?」ですから。こっちも「アイアイキャプテーン!」ですわ。そういう流れなので仕方がないのです。


 そんで、パイナップルに住んでいる~♪ ですよ。ただ、『スポンジボブ、ズボンは四角』の部分が『スポンジボブ、エクレアパンツ』になってるんですよね。まぁ、明らかに『エクレア』じゃなくて『スクウェア』だと思うんですけど(いくらあの世界観でもさすがに海の中でエクレアはまずい)、いや、その部分はどこで知ったのよ。オール英語の歌詞なら歌い出しから英語のはずだし。なぜサビ(ここサビ?)だけ英語に? まぁ色々謎ではありましたが、ちょっとどんよりした空の下、元気よく『エクレアパンツ』と歌う息子の可愛いことよ。おててもすべすべのふわふわです。


 さて、そんな我が家のジュノンスーパーボーイ息子君がですね、またしてもモテエピソードを提供してくれたのです。


 並んで歩いておりますと、「あー! 息子くーん!」と後ろから声をかけられます。もうこれくらいは日常茶飯事。それが女子なのももう当然なのです。ちらりと名札を確認しますとどうやら同じクラスの様子(保育園から一緒じゃないと顔を覚えられない)。


 おうおう、相変わらずじゃねぇかヒューゥと思っておりますと、その女子がですね、言うわけですね。「息子君にこれあげる」、と。その手にあったのは、子どもの手のひらくらいの大きさのピンクのお花。椿の花みたいに首から(という表現で良いのでしょうか)落ちるタイプのやつのようです。かなり萎れていたので、もいだのではなく、落ちてたのを拾ったものだと思われます。

 一瞬いじめか?! とも思ったんですけど、女子の表情などを見るに、おそらくそうでもなさそう。そう思いたい。


 そんなこんなで女子からお花をもらった息子君ですが、それだけでは終わらないのです。もうしばらく歩いておりますと、近くに住んでいる女子2人と遭遇しまして、息子がお花を持っているのに気付きますと、それどうしたの、と尋ねてくるわけですね。息子に代わって経緯を説明しますと、「負けられないわ!」とでも思ったのでしょうか、道端のたんぽぽやらちょっと名前がわからないんですけど、小さいマーガレットみたいなやつを抜いて、息子にプレゼントしてくれたのです。保育園時代でも1、2位を争う美少女2名です。息子よ、心に刻め。確実にいま、この瞬間がお前の最大のモテ期だ。


 そんで、いまママが困っているのが、


「ママ、このお花、ぼく大事に育てたいんだけど、お水に入れればいいの?」


 と、息子から相談されているという点です。


 えっと、お花って首から落ちた場合でも水につけておけばある程度イケるものなんでしょうか。

 さすがに無理では? と色々言葉を選んで諦めさせようとしたんですけど、今度は、


「じゃあ、このお花と同じのを育てたい!」


 とか言い出しまして。

 ごめんな、ママ、お花に全く詳しくないから、そのお花が何ていうお花なのか一切わからないんだ。助けてお花に詳しい人!



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