第446話 ジョガー

 これまた私のイメージというか偏見ではあるんですが、男の人って買い物がスパッと終わりますよね。


 男の人って~、ってさもさもたくさんの男を知ってるような感じで書きましたけど、私の知ってる男なんてパパン(ダンディ)と弟(永遠の中2)と元彼(いまはどこで何をしてるやら)と、あと旦那(マイハズバンド)と息子(マイサン)くらいなものです。5人中4人が家族という部分で私が如何にモテない人生を歩んできたか察していただきたいところ。


 まぁ、話を進めますけど、パパンはとりあえずポロシャツの襟を立てとけばOKみたいなスーパーダンディで、新しい服を買う=ポロシャツを買うみたいな感じでしたし、弟はママンが買った服を大人しく着るタイプでしたし、元彼はとにかく縦にデカい人だったのでサイズで服を選ぶタイプでした。


 そんで、息子はもちろん全身ママコーディネートですし、それに文句も言いません。保育園時代、お着替え袋がすっからかんで娘の服を着せられたこともありましたが、それでも文句を言いませんでした。さすがにそれは言ってくれても良かったんですけど。


 さて、旦那はと言いますと、あんまり服を買わないタイプと言いますか、いや、女性と比べて、という話なので、もしかしたら余程のオシャレさん以外は男性ってそういうものなのかもしれないんですけど。

 なので、例えばもうヨレヨレくたくたで色あせているシャツとかでも着ようとするため、それはさすがに、と私がこっそり買い足す感じなのです。だから、自ら服を買う、というイベントがあまり発生しません。


 そんな旦那ですけど、よし、今日は服を買うぞ、となるともう電光石火で決めてくる。ユニクロとかにふらりと入って、私がだらだらと物色している間にお会計が済んでいたりするのです。えっ、もう?


 さて、今回も安定して謎のロング導入だったんですけども(えっ、これが本題じゃなかったの!?)、最近何やら『ジョガーパンツ』なるものがユニクロで売られてまして。それをですね、旦那が買ったのです。

 そうです、ユニクロの商品の話がしたかっただけなのです。※ユニクロさん、スポンサー契約お待ちしています。


 私、恥ずかしながら、これ最初『ジャガーパンツ』かと思っておりまして、「大阪のおばちゃん用のズボンかな?(ジャガー柄)」なんて思ってたんですけど、いや、だって流行ってだいたい最初は「え? こんなのが!?」みたいなのありますし。そしたらね、『ジガー』だったんですね。ジョギングする人のことですよね、ジョガー。まぁ、別にジョギングしなくても良いんですけど。


 そんでこれがですね、旦那曰く大層良いらしくて、私にも勧めて来たわけです。


 いやいやいやいや、あなた自分の妻のことわかってる?

 運動とか、身体を動かすとか、汗を流すとか、そういうのが大大大嫌いのこの私よ? その私に『ジョガー』のパンツを勧める?!


 と、難色を示したんですけども、もちろん彼は私がスーパー運動音痴で、どうやら最近ではもう縄跳びすらろくに出来なくなってるらしい、ということもわかりきっているのです。


 それでも勧めて来たわけですから、勧めたいほどのポイントがあるということなのでしょう。どれどれそういうことなら、私が「よっしゃ買おう!」となるようなプレゼンをしてみなさいな。と、上等な革張りのソファにふんぞり返り、手にはブランデーグラス、足元には虎の絨毯的な気持ちで(実際は紙パックの豆乳とかチューチュー飲みながら)彼の話に耳を傾けたわけです。

 すると――、


「足がめっちゃ上がるよ! ほら、ほら!」


 ほら、ほら! じゃねぇ!!


 私、いまのところそんなに足を上げるような生活してない!

 でも確かに足を上げても(もちろん旦那も身体が硬いので、Y字バランスとかそういう感じで上げているわけではない)、全然窮屈そうじゃないのです。


 私なんて足を肩幅以上に広げることのない毎日を送っておりますからね、もうほんとにいらないやつなんですよ。


 だけどこれが不思議なものでですね、数日後、ユニクロさんから小包が届いちゃうわけです。結局買っちゃったのです。基本的に私はちょろいのです。


 ただ一つ、ちょっと不思議なのはですね、注文履歴にはしっかりレディースのジョガーパンツと書かれていたはずなのに、商品のタグには『ウルトラストレッチアクティブアンクルパンツ』と書かれていたんですよね。バーコードのところに印字されている番号が同じだったので、まぁこれが噂の『ジョガーパンツ』なのだろうとは思うんですけど。うん、たぶんあれだ。名前が変わったんだ。去年辺りまではこの名前だったんだ。小売りの世界ではよくあることですから。


 とりあえず、履き心地はとっても良いです。


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