第380話 言うほど食わねぇじゃん?

 何かこう、「この料理といえば、この食材!」みたいなのあるじゃないですか。またいつものように突然書き出しますけども。


 例えば、納豆にはネギとかね、クリームシチューにブロッコリーとかね、何かそういうやつ。ちなみに、私の実家では全然そんなことありませんでした。私がそもそもネギNGの人間なもので、「は? せっかくの納豆を台無しにする気、you?!」ってなもんで、長ネギを拒否ったわけです。


 そんで、まぁぶっちゃけブロッコリーもさほど好きではない、いや大人だから「さほど」なんて濁しましたけど、正直なところなるべく食べたくないので、実家のシチューにブロッコリーが入ったことはありません。父親もなかなか偏食の傾向にあるもので、その父を味方につけたのが大きかったかもしれません。


 ただブロッコリーってボリュームを出したい時に優秀なんですよねぇ。緑もきれいだし、火を通しても葉物みたいにぺしゃんこにならないし……。でも嫌いなのよ。


 さて時は流れ私も家族を持ちまして。

 今日のご飯何にする? みたいなそんな話題にね、なるわけです。まぁ毎回子ども達のリクエストが通るわけではないんですけど。


 するとね、娘が言うわけです。


「シチュー!」


 あら可愛い。やっぱり子どもはシチューが大好きなのね。余談ですが、昔息子が離乳食の頃、それはそれはもうホワイトソースが好きで食べまくってたんですけど、ある日突然クリーム系を拒否り始めてですね。子どもが好きそうなクリーム系のメニュー(シチュー、グラタン)を全く食べなくなったのです。何で?! あんなにママの作ったホワイトソース好きだったじゃん! むしろ食べ過ぎた?! もう一生分食べちゃったかな? とはらはらしてたんですが、またいきなり食べるようになりました。何なのこれ。


 というわけで、シチューですよ。

 ただ、先述の通りですね、私は出来ればブロッコリーを避けて生きたい人間なので、玉ねぎニンジンじゃがいもと鶏肉、稀にコーンをぶち込むくらいのシチューでお茶を濁していたんですけれども、娘がもう得意気に言うわけですわ。


「ママ、ブロッコリーもいれてね! 娘ちゃん、ブロッコリーだぁい好きだから!」

 

 んふぅと鼻息荒く、もうほっぺをむちむちぱんぱんにして言うわけですよ。マジで? まぁ、身体に良いものだし、お前がそこまで言うのなら、ママだって大人だからね? そりゃあ我慢して食べますわ。お前達の前ではもう美味い美味いって顔で食べますわ。心の中ではしくしく泣いてますけども。


 が。

 まぁー食わねぇ食わねぇ。そもそもウチの娘ちゃん、あんなにむちむちボディの割にそんなに食べないのです。顔はもうふくふくのもちもちなんですが、身体はそこまででもないというか、縦にでけぇ。これあれだな、息子の方ががりがりすぎてそう見えるだけだなさては、って感じの体型なんですけども。まぁ食わないのです。小食。


 減らねぇの、ブロッコリーもっさり入ったシチュー。

 

 で、お弁当もですね、絵本に載ってたお弁当が、玉子焼きにウィンナー、甘いニンジンとブロッコリー(塩ゆで?)、ポテトサラダにイチゴという感じで、娘はその絵本が大好きなものですから、弁当といえばこれ! みたいなのがあって、ブロッコリーを入れろ入れろと騒ぐんですね。


 ……だからさ、お前、言うほど食わねぇじゃん?


 結局ね、残ったブロッコリーを処理するのは親なんですよ。


 ねぇ、旦那?

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