第320話 鎮痛剤の話

 常備薬といいますか、風邪の時はこれ、みたいな、ひいきにしてる市販薬ってあります? 体質なんかもあるでしょうし、眠くなる成分が入ってないのが良いとか、一日2回のが良いとか、錠剤より散剤が良いとか、そういうのあるじゃないですか。私は絶対お昼に飲みそびれるタイプなので、風邪薬は一日2回のが良いです。


 で、鎮痛剤はバファリン。何せ半分が優しさで出来てますからね。もう薬にも優しくされたいんですよ。優しさに飢えてるんです。嘘です。手に入りやすいってだけです。こいつどこでも売ってやがるから。



 そうそう鎮痛剤といえば、何かいまって「ロキソニン最強!」みたいな風潮ありません? 気のせいかもしれませんけど。



 帝王切開で出産した直後なんですけど、しばらくは背中の方に痛み止めが刺さってたんですよ。刺さってるっていうか、点滴みたいな感じというか。手元にスイッチがあって、痛かったら押すっていう。さすがにめちゃくちゃ効くわけです。でも無限にあるわけじゃなくて、使い切ったら次はロキソニンね、って。その頃には「巷には『ロキソニン』なるスーパー鎮痛剤があるらしい」って噂を耳にしてましたから、だったら安心だななんて思ってですね。


 そんでもうその手術痕っていうのか、それとも後陣痛(産んだ後の子宮の収縮的なやつ)なのか知りませんけど、とんでもなく痛いんですよ。我慢強さではちょいと名の知れた私も白旗をばっさばっさと振るくらいの痛み。


 だけど、何となくその背中のやつはガンガン使ったら負けみたいなのが自分の中であって、当たり前ですけど傷は自然に治るものですし、痛みも峠を越えたら後はそうでもない的なこと聞いてましたから、ギリギリまで我慢して、それでも耐えられなくなったら使ってました。


 なので産後は、ベッドの上で基本的に歯を食いしばりつつラマーズ法で痛みを逃がしておりました。ラマーズ法、あの有名な「ヒッヒッフー」ですよ。自分の出産では使う機会がありませんでしたからね、ここで活躍しました。練習(?)の段階ではとても上手って褒められましたからね。いまでもお腹が痛い時とかラマーズ法使ってます。使ってあげないと可哀想でしょ。


 さて、そんなこんなで背中のやつを使いきってしまいまして。ラマーズ法でもどうにも出来ないほど痛かったので仕方ないです。

 ということはロキソニンさんの出番なんです。どれどれ、最強の鎮痛剤とやらの力はいかほどか、と。

 痛みで冷や汗を垂らしながら飲んだわけです。ただやはり錠剤ですからね、効くまでに少々時間はかかるでしょうけど仕方がない。そんなことを思いつつ。あともう少しの辛抱だからとラマーズ継続しつつ待ったわけです。


 ちぃーとも効かねぇ。


 おい、ちぃーとも効かねぇんだけどお前。

 おい、ロキソニン。お前ほんとにロキソニンか? よく見たら『ロキソニソ』とかじゃねぇか? 


 結局、わずかにも痛みが和らぐこともなく、私、ずーっと歯を食いしばって、もっかい産むのかな? ってレベルのラマーズ法なの。ひぃっひぃっふぅぅぅぅ――!!! って。産むぞ、もう1人。


 体質なのか何なのか、それともその前にめちゃくちゃ効くやつ使ってたからなのか、まったく効かなくてですね。


 だからもしかしたらいま頭痛やら腹痛で使えばめちゃくちゃ効くかもなんですけど、何となく「いや、あんときお前効かなかったじゃん」みたいなのが拭えないのです。


 だから私はバファリン。

 そう大して効くわけでもないけどバファリン。半分が優しさなら多少は仕方ないかなって。


 LIONさん、CMのオファーお待ちしております。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る