第277話 130㎞の距離

 日本ってね、他の国に比べたらまぁ小さいじゃないですか。細長いですしね。で、同じ長細い国にペルーとかありますけど、あんな折れそうなくらいに細長い国でも日本より全然大きかったりしてね。


 いや、何が言いたいかっていうとですね。

 そんな小さい国の癖に、たかだか海峡ひとつ挟んだくらいで何でこんなに違うのよって。それが言いたいんだ私は!


 なぜだ!

 なぜたかだか津軽海峡(130㎞なんですって)一本挟んだだけなのに、内地は『体育着』があるんだ!!


 っていう。


 いや、息子が小学校に入学した時にですね、まぁあれこれ準備するわけですよ。説明会でプリント渡されて、文房具の指定(キャラものは駄目)ですとか、お道具袋やら何やらの袋関係も随分細かくてびっくりしたんですけど、それよりも「え?」って思ったのが、


『体育着』と『給食エプロン』の購入でした。


 何それ。

 体育着って何? 

 そういうのは制服がある中学生からじゃないの? ここ私立じゃないでしょ? って。


 まぁぶっちゃけエプロンの方も、地元では学校に元々あるやつを当番の週になったら借りて、最後は洗濯して返すみたいなシステムだったので、「買うの?!」と驚いたんですけど。


 いや、それよりも体育着ですよ。

 買うの? 体育する時に着るやつってことでしょ? え? 何? てことは、体育の前にお着替えするってこと?!


 大混乱ですよ。

 旦那は当たり前でしょ? みたいな顔してるんですけど。


 ははん、さてはここの地域だけだな?(息子の学校だけかと思ったら制服屋さんに行ったらこの地域みんなそうだった)


 なんて思ってたんですけど、調べてみたらむしろ北海道の方が『体育着のない地域』扱いをされていたという。いやいやいやいや、小学生なんてだいたいジャージで登校するでしょ? そのまま体育やったら良いじゃん! 普段スカートの女子も体育の日はジャージ履いて来てたし!!


 で、そんな話を職場の先輩に話したんですけど、やはり皆さんそっちの方がおかしいでしょ、みたいな感じなんですよ。私服で体育するの!? って。しますよ! しましたもん、この私ですら!!


先輩「それにさ、私服だったら、ゼッケンどうするの?」

宇部「どうするの、とは?」

先輩「ほら、縫い付けるじゃん? まぁ、あとで取れるようにかるーく四隅だけだけど」

宇部「いやむしろ、縫い付けるんですか? ウチの方では肩と脇にこう、ゴムをつけて、キャミソールっぽくするっていうか。キャミスタイルです」

先輩「キャミスタイル!」

宇部「それならサッと脱げますし、ほら、スキーの授業の時とか」

先輩「スキーの授業?」

宇部「はい。さすがにウェアに縫い付けるとか厳しくないですか」

先輩「スキーの授業なんてなかったよ」

宇部「!!?」


 もうそこからして。

 いや、ここ東北ですよね?

 ないわけないでしょう。と思ったんですが、ここは東北でもそこまで雪が多くないからなのか、ないらしいのです。マジかよ。


 ウチの地元で冬の体育ったらスキーですよ。小学校低学年はグラウンドに作った超初心者用のお山で、高学年くらいになるとバスに乗ってスキー場へ。中学生になっても受験生以外はスキーです(受験生に『滑る』はNGだから)。


 ちなみに高校生になってもスキー授業はあります。

 その場合は、小中でお世話になったスキー場ではなく、自衛隊さん御用達のスキー場です。リフトが、座るタイプのじゃなくて、何かこう、バーを腰に当てて、ロープを掴んで滑りながら登るタイプのやつでした。あれ、ちゃんと板にワックス掛けておかないと大変なんですよ。上手く滑ってくれなくてねぇ。


 いや、こんな懐かしい感じで語りましたけど、もちろん私、スキーはからっきしです。

 道産子だからといって、みんながみんな滑れると思うなよ。ちっくしょう。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る