第264話 肉球の感動

 子ども達がね、大好きなオバーバ(姑)からお菓子を買ってもらってたんです。


 肉球の形をしたグミ。

 可愛い形のグミをほおばる可愛いほっぺたの子ども達。

 

 楽園はここにあったんだ……! ってね。


 いや、そうじゃなくて。


 肉球なんですよ。

 もうこれの破壊力がすごいらしいじゃないですか。なんていうか、可愛すぎて悶絶、みたいな、そういう意味で。


 だけど、ほんの数年前ですか、数十年前ですかね、そこまでこの肉球ブームってなかった気がするんですよ。もちろん飼ってらっしゃる方はメロメロしてたと思いますけど。私のような飼っていない人間でもSNSなどを通じてその可愛さに触れられるようになったといいますか。


 肉球の形のグミならまだわかるんですけど、肉球の香りのハンドクリームとかあるんですよ? 肉球ってそんないい匂いするの?! 嗅いだことないからわからないんですけど。とりあえず代わりのものとして子ども達の足の裏を嗅いでみましたが無臭でした。いまが冬で良かったです。さすがに夏の足はね?

 

 ――は置いといて。


 というのもですね、私、宇部。ワンちゃんしか飼ったことがないのです。しかも大型犬で、外飼い。金太郎(仮名)君ね。


 一緒にお相撲とったりもした仲ですから、そりゃあ肉球は見たことも触ったこともあります。ありますけれども。


 いや、金太郎君の肉球、ガッチガチでしたけども。

 外で飼ってましたし、靴なんて履いてませんから、素足で歩いてますからね。もうガッチガチでしたから。その足で色々踏んでますし、決して良い匂いではなかったですけど。


 ここで、は、と気付くわけですよ。


 もしかしてこの肉球ブームの肉球って猫ちゃんだけ? 猫ちゃんの肉球を差してるの?

 ていうか、あのピンクのぷにぷにしてる肉球って、猫ちゃんだけなんじゃ!? って。


 それまでワンちゃんでも、家で飼ってるやつだったらもしかしたら、とか思ってたんですけど、もしかして違うのではって思い始めたんですよね。そういやワンちゃんの肉球って黒いし。


 猫ちゃんの肉球はさぞかしぷにっぷになんでしょうね。

 グミになっちゃうくらいですもん。

 これがワンちゃん(外飼い)の肉球だったらかなりハードな食感のグミになるところです。結局グミなんかい! ってね。いや、表面はカチカチでしたけど、クッション性はありますからね、もちろん。


 しかし、いまのところ猫ちゃんを飼えるような環境でもないもんですから、いまは子ども達のぷにぷにほっぺちゃんで我慢我慢ですわ。エステティシャンさんがフェイスマッサージする感じに4本の指でとぅるるんとぅるるんってやってたら(「とぅるるんとぅるるん」って言いながら)ですね、最近じゃあ、されてる方でも「とぅるるんとぅるるん」って言うようになりました。


 とぅるるんとぅるるん言いながらとぅるるんとぅるるんしている人と、

 とぅるるんとぅるるん言いながらとぅるるんとぅるるんされてる人。


 これ、一体何歳までとぅるるんとぅるるんさせてもらえるんでしょうね。


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