第146話 玉ねぎの謎

 玉ねぎを切ると涙が出る。

 

 これはもうね、真理といいますかね、コーラを飲んだらげっぷが出るくらい当たり前のことじゃないですか。


 かくいう私もですね、そりゃあもう出る。涙のみならず、私の場合、泣くと鼻水も出ちゃうタイプなので、目から鼻から大盤振る舞いですよ。今日のご飯しょっぱかったらごめんね。


 が、しかし。


 不思議だと思いません?

 料理人さん、全然泣かないの。プロだから? プロ意識で耐えてるの? プライベートでは泣いてる?


 それとも体質? そういう恵まれた体質を持っていることも料理人になる条件のひとつなの!? いや逆に、だからこそ料理人を志したの!? そこからスタートしたの、あなたの料理道!?


 あるいは慣れですかね。慣れるのかな。


 私だってね、そんなそんな毎日ではないですけど、ちょいちょい玉ねぎ切ってるんですよ。なのに一向に慣れる気配がないのです。

 そりゃあね、色々方法があるのは知ってます。一度チンすると良いとか、あと、鼻を塞ぐと良いって聞いたので、毎回鼻栓してますしね? 


 チンは確かに効果があった気がします。でも何かあったかい玉ねぎ切るの嫌なんですよね(ただのわがまま)。


 鼻栓も最初は効果があった気がします。だけれども。出るわ出るわ。じゃんじゃん出るんですわ。ここが私のジャンジャン横丁だ。


 昨日オムライス作ったんですけど、もう涙でまな板が見えないのです。まさか玉ねぎの野郎にここまで泣かされるとは。今日の私のまぶた、ぷくぷくになってますからね。そんなことある? 玉ねぎだよ!? 映画で泣いてもここまでならなかったのに!


 玉ねぎ>感動する映画ですわ。ふざけんなよ玉ねぎ! 映画監督に謝れ!!


 って野菜に対して憤っても仕方ないわけです。こんな憎いコンチクショウですけど、血液サラサラ成分とかあるからね。人類への貢献度で考えたら100対0だから。健康面だけではなく、味の方でもね、玉ねぎさんがいるといないとでは大きく違うから、悔しいけど。


 まぁぶっちゃけネギ類は私嫌いなんですけど、長ネギほどは嫌ってないといいますか、火が通っていれば全然いただきますというか、割とね、仲良くやっていきたい気持ちはあるんですよ。友好的な関係でいたい。


 ってこっちが下手に出てればこれですわ。

 圧倒的な力の差を見せつけてくるわけ。眼球だからね? いくら私が眼鏡っ(『』ってお前)だといってもね? 眼鏡なんて真正面からの攻撃しか受けられないからね? アントニオ猪木でも眼球は無防備だからね?


 ところがですよ。

 

 旦那には効かないの。


 めっちゃザクザク切ってんのに、Don't cry なの。いや、おかしいでしょ。そっちの眼鏡どうなってんのよ。実はゴーグルなの? 言っときますけど、私の前で迂闊に『ゴーグル』なんて単語出したら『大戦隊ゴーグルファイブ』歌い出すから気を付けろ!


 いや、それは良いの。残念だけどゴーグルⅤは一回置いといて。戦隊があるなら戦隊もあるのかなとか、そういう疑問も今日はちょっとお呼びでないから。じゃあ人数的にサンバルカン(3人)かな? って思うけど、それプラス2人で戦隊ってなぁ、とかね。じゃあ中戦隊は4人かな? ヨンバルカン? そんなのいないけど。だからそうじゃなくて!


 私と旦那、何が違うんだろうって考えたわけです。

 そりゃまぁ私と旦那ってそっくりですよ。顔のパーツも同じ数だけあるし、どうやら内臓の位置なんかもほぼほぼ同じところにあるみたいですからね。脳の形もそっくりらしいじゃないですか。うーん、ただ、諸々の大きさがね? ちょっと違うといいますか。こっちがMサイズなら向こうはXLサイズといいますか。


 あっ! それじゃない?


 ピンと来ましたよね。


 玉ねぎの涙成分(正式名称わからないからこれで良いや)が飛散する高さですよ!

 きっと私の顔の高さ以上には飛ばないんですよ!

 だから旦那の顔のところにまで届いていない!! これでどうだ!!


 真実はいつも(だいたい)ひとつ!! 見た目は宇部! 頭脳も宇部!! その名は名探偵宇部!!


 というわけで、今度旦那に顔をうんと近づけた状態で玉ねぎを切ってもらって実験してみます! してから書けよ。

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