第86話 そんなところまで似るのかよ

 テケテケテッ、テケテケテッ、テケテッ、ドゥンドゥンツクツクパーパーパー、

 パーラーラーパーーラーラーラーララーーー、ズパパパパーパー、

 パーラーラーパーーラーラーラーララーーー、パーパーパーパーパ、


 オーラァーーーーーーーーーー



 いきなりね、こんな感じで始まりましたけど。


 どうでしょう。

 これだけで何のイントロかわかりますでしょうか。

 いや、でも最後ほぼ答え言っちゃってるからなぁ。


 これね、『聖戦士ダンバイン』。

 わかる人にはわかる。わかってほしい。


 いきなり何なんだ、こいつ大丈夫か、って思った人はね、全然宇部さんのことわかってない。だいたいの場合、私のエッセイはこんな感じで突然始まるし、私はいつだって大丈夫じゃない。


 いや、今回の話は至ってシンプル。

 そういう癖があるの、って。それだけといえばそれだけ。


 ついついイントロから歌っちゃう、っていう。

 

 アニソンとか特撮ソングだけとか、そういうことじゃないんですよ。どんなジャンルでもだいたいイントロからいく。


 ただ、JPOPやロックあたりならイントロと間奏だけとか、いっそ伴奏だけを歌うこともあるんですけど、これがアニソンや特ソンとなるとですね、それだけではないんですよ。


 やつらには効果音がある!


 だから、聖闘士星矢なんかは大忙しですよ。聖衣クロスの装着音も全部言わなきゃいけませんから。言わなきゃいけないということはない。


 だけどね、最近のアニソンとか特ソンってほら、おしゃれな感じになってるでしょ。言ってくれないでしょ、最後の方でタイトルとかそういうの。マスクの色がどうだとか、5つの腕がどうだとかね、そういうの全然言わなくなった。アンタ変わっちまったよ。

 

 いや、わかってる。こっちにも非があるのは。

 さんざん赤いボタンを知ってるか青いボタンを知ってるかって問い掛けておいて、それの答えはなしとかね。宇宙スペースナンバーワンって宇宙とスペースは同じ意味じゃないのかとかね。

 いや、赤いボタンと青いボタンはちゃんと本編に出て来ます! ご安心ください! ってね、そう言われてもですよ。もしかしたらOPのその部分で、OLあたりは見切りをつけちゃうかもしれないんですよ。


「何よ、聞くだけ聞いておいて! 会話を膨らませる気もないわけ?」って。

 あのね、女性はね、会話をしたいものなの。


「えー? 赤いボタン~? わかんないけど~、うーん、ビームとかぁ~?」

「あー、成る程、良い線いってるねぇ~(いってない)」

「えへへ~そうでしょ~。それで、あなたの年収おいくら?」


 ってね、やりたいの。知らんけど。たぶん。


 何の話でしたっけ。


 ああそうそう、イントロドンの話でした。違う、ドンまでは言ってない。


 でも私、ご存じの通りのトゥーシャイシャイガールなものですから、にわか特撮オタクということは吹聴してても、イントロまで歌っちゃう部分はちょっとシークレットにしていたんですよね。


 あーきっと私はそういうのを隠したまま、趣味はネイルアートとウィンドウショッピングです、みたいな顔して(どんな顔だよ)、自分を偽ってお付き合いするんだろうな。それで、結婚しても、旦那に隠れて特ソンとかアニソンとか聞くんだろうな。ていうかそもそも結婚出来んのマジで。って、思ってたわけです。


 ところがどっこい。


 木馬ホワイトベースに乗った王子様ブライトさんがね、颯爽と現れたわけです。別にブライトさんが好みというわけではないです。だけど、赤いMSならシャアだし、木馬ったらブライトさんでしょ。

 

 だってね、部屋着に着替えながらゴッドマーズ歌う人なんてなかなかいませんよ。しかも、彼もまたイントロも歌うタイプの人間だと来たもんだ。おいおいブルータス、マジかよ。お前もだったのかよブルータスってくらいのブルータス。


 この人を逃したら、私一生結婚出来ない! やってやんぜ! 釣ってやらぁ! 海老で! 鯛をな!! この場合の海老はもちろんツインテール(味が海老)だ!

 

 そんなこんなで、どうにか頑張って結婚しました。元気があれば何でも出来るもんです。


 で。

 数年後に産まれた息子がね、教えてもいないのに、やっぱりイントロから歌い出すんですよ。もちろん効果音もね……ふふ……。不思議でしょう……?


 やはりサラブレッド!!

 いやぁ、こんなところまで似るのねぇ。遺伝子って怖い。

 ていうか、そういうところばっかり似ないでいただきたいのだが。

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