第386話三大欲求
(掃除終わったよ)
急に念話符からきたがどうやら終わったようだ。
(助かる、こっちも城からの送迎が終わって後は丸投げした)
(大丈夫なのかい?)
(問題ない、説明するべき事は本としてだが渡してある。あの爺さんなら余裕だろ。俺は少ししたら楽園へ戻る、ルイはどうする?)
(じゃあ先に行って妖精と遊んで待ってるよ)
それだけ言うと念話が切れた。早く行きたいのだろうな。俺のようなモドキの魔術師ではなく本物の魔術師のルイにとっては比喩表現ではなく夢のまた夢のような状況なのだろう。
さて、帰る前にあの女に対する対策を少し講じるとしよう。無論排除など現状不可能だ。自分が心を許し篭絡されない為の物だ。悔しいがあの女は魅力的だ。多分俺だけがそう思うわけではない、老若男女人型問わず感じかたこそ違えどそうあるだろう。
問題なのは人の女の形でいる事だ。魅了などの魔術やスキルではないと思うのですぐに同行することはないだろうがこれから年単位で近くにいると言う事を考えると正直自信が無い。
だから焼け石に水であろうと策を講じるのだ。具体的にはアリアが自分に施した術式である三大欲求の消失。
三大欲求、これは生存と繁殖という生物として当たり前の機能である。そして三大欲求の為に使うキャパシティーは決して小さい物ではない。
どんなに忙しく動かなくては死んでしまうような状況下であろうが体が限界ならセーフティー機能で気絶する。
飢餓が極限まで進めば人は人でも食らう程理性を失うこともある。
性欲に支配しされて不祥事や争いや果てには殺しが起こっている。かの聖剣の担い手の出生や間接的死因はこの浅ましい性欲にあるようにも思える。
もしこれだけの部分を排除して代わりに魔術で満たせばどうなるか? 魔術師としては大成するだろう。当然ながらリスクは信じられないほど大きい。
食欲や睡眠欲で例えるなら車等がいいだろうか? ガソリンのメーターこれが無い状態だ。当然ガス欠は死を意味する、餓死や過労死がこれに当たると思う。
一切食欲の無い状況で食事を取り、全く眠気が来ない状況下で睡眠薬や魔術で無理やり睡眠を取る生活を強いられる。言葉にすればそのくらいと言うかもしれないが想像以上に辛いだろう。
この2つの欲に比べて性欲は死に一切関係ない。寧ろ振り回されるリスクが無くなるので子を残す気が無いならメリットのほうが遥かに大きい。
この世界に転生と言う感覚は無いそうなので扱いとしては童貞のまま使い物にならなくのは少し口惜しい気もするがあの女に対して焼け石に水程度の策であろうと効果があるのであれば十分だ。
そのキャパシティーを別に充てる事も出来るしな。さぁ始めようか。
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