第385話後片付けは師匠にお任せ

(ルイ聞こえるか)

 転移後すぐに念話符を起動してルイに語りかける。


(どうしたんだい? なにかトラブルでもあったかな?)


 このタイミングで連絡をすればそう判断されても仕方ないか。実際あっているしな。


(御名答、移民を迎えに行ったら馬鹿共に襲われる手前でな。制圧したは良いが情報を聞きだす対価として俺は連中を殺せない。あくまでも俺はな)


(それで掃除を頼みたいって事でいいのかな?)


(話しが早くて助かる。建物その物が消えるのは不自然すぎるからアンタの魔術で辺り一帯を灰燼に帰して欲しい。自爆に見えるのであれば完璧なんだが、そこまでは注文しねぇよ)


 俺は殺さないと約束したからちゃんと守るさ、俺はな。


(師匠使いの荒い弟子だ事。だけど可愛い弟子の頼みだ、早々に終わらせるとしようかな)


(弟子使いの荒い、女児と見間違いそうな可愛らしい師匠に言われちゃお終いよな)


(生意気な弟子だ事で)


(師匠の御指導の賜物ですな)


(軽口はこの辺にしてダイス、他に問題は無いかい?)


(いや、ねぇよ。今から王の所まで迎えに行ってこの街に案内すればひと段落だ。そちらは纏まったんだろ?)


(無論だよ。あそこで暮らせる人たちは幸運だよ。そうだ今度家を建ててくれないか? 楽園の君の家のような奴をさ)


 ああ、確かに魔術があればある程度快適だが完全な自動とは行かないか。世話にもなってるし場所次第では許可するか。



(楽園の中であればいいぜ。技術は漏らしたくないからな)


(助かるよ、例の彼女とも話してみたいし丁度いいや。それではひと段落着いたらまた会おう)


(おう、またな)


~~~



 さてと、座標は貰ってあるので行くのは簡単。愛弟子のお願いをたまには聞いてあげるとしようか。


 現地に着くとこれ以上無く分かりやすい状況だった。人間の絨毯が出来ているのだから。いくらか死に絶えている者もいるが、元気に吠えてる者もいる。


「そこのガキ」


 おっと見つかってしまったようだ。隠れようとは微塵も思わないけど。


「なんだい? 随分愉快な格好してるけど何かの芸かな?」


「このクソガキ…まぁいい、周りに仮面の男はいないか?」


 ダイスの事だろう。当然いない。


「彼ならもうこの辺にはいないよ」


「彼だと?」


「そうそう、彼だよ。彼とはこう約束したんだろう? 俺は殺さない、そうじゃなかった?」


 周囲の一部人間は何かを察したのであろう。許しを請う声が聞こえるが、一部はこの見た目を見て何を怯えるかと怒鳴る者もいる。


「他の魔術師が殺しに来るって事か」


 一人の兵士がそう問いかけてきたので。


「そうだよ当たり前じゃないか、アレだけの魔術を見たのだろう?生かされると思うほうがどうかしてる」


 許しを請う者を先に雷撃の魔術で即死させる。コレは慈悲のつもりなのだが分からないだろうね。さて、人の事をガキ呼ばわりしたこいつらはじっくり火を通すとしよう。


 周囲の地面が溶け自分に広がってくる恐怖の中死ぬと良い。

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