第373話小休止
「ダイスはさぁ本当にそういうの好きだよねぇ、もうこれ以上稼ぐ必要も無いだろうに」
声がするほうを見るとルイが呆れ顔でこちらを見ていた。
「今回の取引はアンタだって喜ぶ物だと思うがな」
中国の神獣がプリントされた缶ビールを投げ渡す。
「これは、これは。そこのおじさんがコレの提供者なのかい?」
「ええ、サトウと言いますお見知りおきを」
「御丁寧にどうも、彼の師匠だよ。好きに呼ぶと言い。所でダイスは何故呼んだんだい? てっきり件の顔合わせだと思ったんだけど」
「今回は契約魔術のお願いだ。ここに連れて来た時点でそれは絶対だし。あと一人お願いしたいが、それはまた後日お願いするよ。対価は今回の買い付け品からって事で」
「それで良いよ。契約魔術の強度はどうする?」
「出来るだけ強固にお願いしたい」
「そうなるとそういう場所が必要になるね、サトウさん借りていくけどいいかな?」
「おっさん、あとはルイにまかせるから彼に従ってくれ」
「分かりました。こんなにまだ幼いのに凄いですね」
「おっさん、そいつは俺より年上の息子がいるんだぜ? 更にこっちの世界で若い奥さんもいると来た」
「え?」
気持ちは分かるが真実だ、形容しがたい存在なのだ。
「ダイス、そう言うのはもういいから、このおじさん連れてくよ」
「あいよ、後は任せた。終わったら呼んでくれ、元の場所に帰すから」
おっさんとショタは転移符でどこかへ向かったようだ。ルイ自身、自分の場所を数多く所有している、仮にも王様だしな。どれかに儀式や契約に適した場所があるのだろう。
人間の島に行って話を進めるべきだが、正直一休み欲しい。それにこちらを覗く連中が沢山いるしな。
「隠れてないで出て来いって」
俺の言葉はそこで途切れる。モフモフした濁流に巻き込まれたのだ。屋根にいっぱいいるのは気づいてはいたが・・・お菓子が見えていたので早くよこせって事だろう。
「人気者だねぇ君は」
それを楽しそうに眺める芸術の神が妙に苛立たしい。
「お前は急に出て来すぎだ。人気なのは俺ではなく菓子だ。そこを勘違いすると悲しい未来が待ってる。子供を甘やかす親なんかいい例だ」
お菓子を配りながら言ってて我ながら説得力が無い。
「神への供物を期待しているんだけどなぁ」
神よアンタもか。
「へいへい。で? 本当はなんの用だ?」
「君の練習を見たくてね、そう言う約束だろ?」
「了解だ、その前に」
「みんなに配らないとだね?」
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