第372話
あれから俺はおっさんを連れて楽園の自宅に向かった。
(ルイ、聞こえるか?少し頼まれて欲しい。俺の家まで来て欲しい)
(いいとも、それに移民の話もあるし)
「何をなさってるんですか?と言うかここだけ文明レベルが違いませんか?」
「それを答えるのになんの対価を払ってくれるのかな?」
「ではでは、葡萄をモチーフにした瓶が特徴のブランデーなどでは如何でしょう?」
こいつ本当にいい趣味をしている。一般人の贅沢レベルの酒を的確に突いてくる。
「まぁいいさ、当然コレも口外不可だがそれでもいいな?」
「意外にチョロイですね。いいですよ、好奇心ですから」
「そうかい、ならこれは自作の電化製品だが発電機は魔力とソーラーだ。それにこの札はまぁ無線とでも思えばいいさ」
「卑怯じゃないですかそれ?私がどれだけ冷蔵庫やエアコンに恋焦がれたと思ってるんですか?」
「さぁな? ではそろそろ交渉に入ろうか?当然だがこう言うものは出せないぞ、使えるとも思わないが」
「そうですね、貴金属や食料、宝石等で良いですよ。それなら出せるでしょ? こちらとしても捌くのが容易いのは良い。 当然こちらの物は安くはありません?それは覚悟してくださいね」
「まぁとりあえず自分で嗜む用の物以外は出せ。見合った物をこちらも出すと約束しよう」
「では外へ行きましょう。見合った物が出せると言った大言は引っ込めることは出来ませんよ?」
家の外へ出ると、酒、酒、酒半数は酒だ。質が悪いのは技術書まである事だ。こいつの価値は計り知れないが、値切ろう。使えば俺の敵だしな。お菓子はここの連中が喜ぶだろうな。まぁ完全にデパートの品揃えである。こいつの空間庫と今まで仕入れてきた手腕といいこの世界での成功者なのは間違いない。
「どうです?これで半分です? 貴方にこれを支払えますか?」
支払えるかと問われると支払える。だが出すものを厳選したい。やはり金属はあんまり気が進まないから宝石になるが、鑑定があるので人工宝石は使えない。であれば。
「まずはコレかな?」
俺は人間の島で仕入れた宝石や魔族の島で手に入れた比較的魔術触媒にしにくいが、宝石として価値が高い物を出した。中には成人男性の拳一つ分の希少石なんかも沢山ある。おっさんは一つ一つ手に取り、物を見定めていく。
「どうやったらこんな物を入手したんですか? 現世でこんな物出回ったら洒落になりませんよ。なんですかこの巨大なアレキサンドライトとか青いルビーとか一つでテーマパークくらい作れるんじゃないですかこれ?」
「だろうな。それでどうだ?足らないとは言うまいな?」
「このレベルの大物は一つで良いです。せめてもう少し売りやすい物をお願いします」
結局小粒の宝石のストックと大きめダイヤモンドの原石をひとつ渡すだけで終わってしまった。
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