第371話居るべき場所へ
戻ると精霊と共にショルが待っていた。ショルが彼女を守るようにだ。
「事情は聞いたよ、これから精霊様をどうするつもりだい?」
「あるべき所に帰す。待っている者も大勢いるんでな」
「意外だね、保護するとか言い出すと思ってたんだよアタイは」
今回は状況が違う、今回は特にだ、王族にも国民にも愛される存在だ。必要では無い所に間余計な事はしない。
「俺にも限度がある、必要ないならそれが一番だ。所で精霊よ、戻れるか?特にミューなんかは今かと待っているだろうよ」
「行きます」
そう言う精霊の言葉には確かに力がある。これなら幾分かマシだろう。
「ならばここへ」
精霊は俺のほうに歩み寄り、ショルの方に振り返り。
「ありがとう寵愛の子よ」とだけ言った。
また城下町の一角から歩き出すが、精霊が隣に居るのでは目だって仕方ない。
すぐさま大勢の人間に囲まれて、それを整理する兵士に先導される。妙に手馴れてきてる気がするがスムーズに進むのだ良しとしよう。
城の前まで着くと小さな何かが俺を通り過ぎていく、言うまでも無いミューだ。俺は周りの兵士に先に行くとだけ伝え魔王の元へと向かう。同時に兵士も距離を空けて護衛するようだ。
戻ってきた、ガキの使い走りのような仕事を終えて。
「さて、魔王。これで俺に求める事も無いし、人間は最早敵になり得無い。最早この問題は収束したと言っても問題はないだろう? 終わったのであればおっさんとミューを借りるぞ。これは契約の様な物だから文句は言わせない。害は無いから安心しろ。秘密を守る為だけの処置だ」
「そなたの領地とやらか、そうだな・・・そこの名前は聞いてなかったな、ミューをここまで連れて来てくれたもう一人の男」
「私はサトウと申します」
「サトウか、ではお前に聞こう。聞いた事が契約に違反しそうなら答えなくて良い。こやつの領地とやらはこの国で全力を尽くした時より安全なのか?」
「安全でしょう。彼がいるならそれは国一つ程度ではどうにもならない程には」
妙に買いかぶるな。まぁいいか。
「そうか、であればこれからもそなたとは交友をしたいと思う」
「稀にでよければ顔を出そう、それでいいか?」
「月に一度くらいは出せ、そなたの移動方法は分からんがそのくらいの速度は出るだろう?」
「前向きに検討するとしよう。とにかく俺には時間が無いんだ落ち着いたらもう一度来よう。だから早く進ませてくれ。ショルは仮契約魔術のみ施すが、あとで一度連れて行くぞ。このおっさんは今すぐ連れて行く。問題ないだろう?」
「そなたの配慮に感謝する。また会えるのを楽しみに待つとしよう」
こうして俺と美しき魔王との会談は終わった。精霊もだが目のやり場に困る事、できればあんまり会いたくないのが本音だ。さて兎にも角にもルイに会うとするか。
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