第364話魔王は友達

「当然だな、俺もお前は、信頼に値しない。しかし、その場所へ連れて行けば制約か死かだ。俺へ不利益になる事と発展につながる行為の禁止。それ以上は無い」



「その制約は構わないのですが手持ちの物資は買い取ってもらえれば問題ありません。それではそこへ向かいましょうか、連れて行けると言う事は然程遠いところでも無いのでしょう」



 説明するより見せるほうが早いな。俺は転移符を起動して島の端へ飛ぶ。









 崖に見える場所から下を覗けば雲が見える。雲が無ければもっと分かりやすかったのだが。



「納得して貰えたか?」



「少し待ってください。理解が追いつきません。まずなぜ急に」



「想像は付くだろう。魔術って奴だ」



「では次です。ここは凄まじく高い山の頂上付近なのでしょうね。下に雲が見えます。本来ならこんな温暖で空気が濃いわけが無いのですがここはそういう世界ですし、そう言う事もあるのでしょう。確かに人の往来は少ないでしょうが山ならいずれ人は来ます」



「山ね。では少し降りてみるか、動けば危険だ、そこに座って大人しくしていろよ」



 おっさんは大人しくその場に座る。魔力で足場を作り道にして流れを作り、移動する。崖を滑るように緩やかに降りる。かなりの距離を降り雲を抜ける。




「山じゃ・・・無い」




「島だからな。理解は出来たと思うが?そろそろ元に居た位置に戻ろうか」





 もう一度転移符を起動しておっさんと最初に会った場所へ戻る。












「やっぱりラ・・・」



「おっさんそれ以上は言うと打ち抜くぞ。あそこは島だ、それもそれなりにでかいな。秘密にしたい理由も人の発展を遅延させたい理由も分かっただろう? おっさんに教えた事自体がかなりのリスクだ。正直殺した方が早いし安全だと未だ思わなくも無い」



「分かりました貴方に雇われるとしましょう」



「早速だが情報が欲しい。魔王ってのはどんな奴だ?」



「ママの友達なのだ」


 元気の良い声で俺の周りを飛びまわりながら言う。ん




「待て待て、もしかしてだが魔王の狙いは」



「わたしと同じで闇精霊の救出ですね」




「それなら島に連れて行かなくていいだろ? 魔王の住みかでもそこそこ安全だろうが」



「悪用された場合が洒落になりません。しかも一度攫われているのですから」



 成程より安全な場所か、一度攫われているのだから信用ならないと。一度魔王側とも接触をはかるべきか。




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