第363話勧誘
「出所は賽の神だ。俺がほぼ最後の異界人だったんだろうな、ペラペラ話してたよ。あと根拠と言えるほどの物では無いが前例があるからな」
「前例ですか?」
「過去にお前と同じ症状の奴を見たことがある」
「どんな方だったんですかね能力も気になりますね」
「英雄だったよ、大国相手に立ち向かえる程の英雄だった。能力は己が知り有名である英雄の力を自身に宿す能力だ。無論偉人、賢人なんでもありなまさに反則能力だ」
「凄まじい能力ですね、繫がりが断ち切れたから有名ではなくなったそう言う事ですか。それで、その英雄はどうなったのですか?」
「戦奴になってたよ、当然守った国も消えていた」
「そうですか。もう使えないと思って良いのですね」
「便利さだけなら使えたほうが良いがな」
そろそろ切り出すか。このおっさんはまだ正常だ、この国の異常のお陰でもあるが。
「おっさん、正直な話精霊を助けるのは吝かではない。だが、生きていては困る奴がいるんだ」
「可能なら、誰かと何故かを教えて頂けませんか?」
「俺は人の発展の遅延今現在行っている」
「私ですか。ではどうでしょう?報酬は在庫の文明機器を貴方に半値以下で売るってのは。流石にタダは勘弁して頂きたい」
「買取で構わないが、代わりに今まで売った文明の発達に繫がりそうな物を売った場所や数を教えて貰う」
「ありませんよ」
「は?」
俺は間抜けな声を上げた。ありませんってどう言う事だ。
「大体この国は信用出来ません。無論生活もありますから商売はしました。それでも、売ったものは食料です。塩が貴重品なこの国ではそれで事足りたのですから」
安く買って高く売る。それが本質だな。
「分かったとりあえず信じよう。次にその精霊を解放して行く場所はあるのか? 俺の予想だがこの国は本来あるべき姿に戻る。この意味は分かるな? 精霊の力を知る物が他にいた場合どうなるかもだ」
「逃げ出しますよ、何処まででもです」
「難しいだろうな。そこでだ、俺の部下として働く気は無いか?」
「それでこの子達の安全が確保できるならそうしましょう」
「その場合は離れ離れになるが、それでもか?」
精霊はおっさんの腕にしがみ付いて訴える。
「離れ離れは嫌なのだ」
「ええ、離れ離れになってもです。その場合は何故その必要があるか、納得できる場合ですがね」
「別段難しい事では無い。あまり人間を匿う場所に置きたく無い。それだけだ」
「人は居ない場所ですか」
「厳密には墓守に子供と老人が一人づつ、それと俺の師が訪れるくらいだ」
「徹底してますね。そこまで人間は信用できませんか?」
「出来る要素が無い。無論例外もいるだろう。だがな、その子供まではとは行かない。俺が生きているうちはまだ良い。だが、人は短命だ。それに人が人間が愚かで救いようが無いのは歴史が嫌と言うほど証明している」
「分かりました。それほどの場所と言う事ですね。では、そこへ一度連れて行ってください。そしてそれだけ言う程の説得力を見せて貰います。私も貴方も信じるに値しない愚かで救いようが無い人間なのですから」
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