第362話おっさんとの交渉
「もし、そうであればこの気持ち悪さにも納得が出来る。平穏と静寂を司る精霊だったな」
アリアが仕えていたのも闇の精霊だったな。保護するか・・・そうなるとこいつらとどう関わるかだな。
「詳しいですね」
「この世界に来てもう長いからな。それで? 俺に助力を請うために来た、そういう認識でいいのだな? 役にたつかも分からない俺に」
「銃を使う時点で反則ですよそれ。どんな力を引き当てたのでしょうか?」
「俺が言うとでも?」
だいたいこのおっさんは何を引き当てたんだろうな。鑑定先生で見てみると。
無限収納・・・際限なく物を収納できる。中に入れた物は一切劣化しない。
異界売買・・・異界の物を買ったり手持ちの物を売ったりできる。ただし、買えるのは自身が一番通った回数が多い店の商品
中級魔術・・・そこそこに才能がある。
未来神のお気に入り・・・稀にお告げで助けてくれる。
なにこれ? 一番の目玉はもう使用できないだろうが、羨ましい構成。勇者なんかより当たりにしか見えない。
「良いじゃないですか、教えてくださいよ。代わりに良い事ではないですが死活問題になる情報を教えますから」
「俺が知らないで尚且つ有用ならな」
「それでは、スキルは使えなくなる物が出るかもしれないと言う事です」
「お前の売買スキルか。そりゃそうだろうな」
おっさんがが見るからに落胆してる。
「鑑定で見られる前提で話はしていましたが・・・理由を御存知なんですか?」
「情報をくれるんだろう? 逆に寄越せってのは甘いんじゃないか?」
「ではどうでしょう? 商品で支払うと言うのは」
「使えなくなった原因ならば、物によっては答える」
「お酒は好きですか?」
「ああ、好きだ。こんなナリだがこうなる前の姿は30代だからな」
おっさんはなにかごそごそしだすと、箱を一つ取り出した。見覚えがある物だ、金色の缶に神様がプリントされたちょっと贅沢飲料だ。今となっては懐かしい。
「おや? 足りませんか、仕方ありませんね」
更に取り出したのは一升瓶だ。森さん・・・だと・・・酒の誘惑に負けるな俺。駄目だアテを何にするか考えてしまう。
「これ以上は出せませんよ」
そう言いながら森さんをもう一本。
「良いだろう。それで交渉成立だ」
口から勝手に台詞が出ていた。
「ではお聞かせ下さい」
負けた気がする、それも完膚なきまでに。だが、対価には答える必要がある。
「簡単な話だ、数年前から異界への行き来が出来なくなった。神とて例外ではないそうだ。スキルでどうにかできるはずもないって事だ。ここ数年こっちに渡って来てる者は一人としていないはずだ」
「待ってください、この世界にきてそれなりに長いといっても貴方がこの国に勇者として召喚されたのは一年も経って無いはずです。それでは私が使えなくなった時期とは違います」
「おっさんなんで俺が異界からこの国に召喚されたと決め付けるんだ? 俺はこの世界からこの国に召喚された。何故こうなったかは知らんが、異界から召喚できないから異界人をランダムで引っ張ったと俺は考えるが?」
「分かりました。では情報の出所と根拠をお願いします。これでもこの世界では貴重品なんでそのくらいはいいでしょう?」
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