第357話大地の精霊を連れて
「さてまずはショル、先ほどの拠点に送るが構わないな?」
「まて、その娘も共に行くのでは無いのか?」
「基本招待した先へは一方通行だ。外へ情報が漏れることを防止するためだ。島一つの広さはある、窮屈さは無いと思うが?」
「出来れば娘も来て欲しかったのじゃが」
「基本的に入った者は二度とそこから出す気は無い。この娘は父も外にいる、引き離すのは如何かと思うが?」
「それはそうだが・・・」
「アタイはとと様と一緒であれば問題ないよ」
「引き離す云々は方便だ、大きい意味での人類をあまり入れたくないってのが本音だ。それに本当にほぼ人がいない土地だ。そんな所で生活がしたいのか? 精霊にとって基本的に人類は害になるだからこそその人類がほぼいない土地だ。最低でも信頼関係が浅い人間を連れて行くほど不徹底ではないつもりだがな」
「じゃあ、アンタの信頼を得ればいつかは行けるんだね?」
「良いだろう」
「ならば娘はいつかは来ると言う事じゃな。長命の者からすればすぐよな」
「とりあえずショルからだ、時間は掛けたくないのですぐ始めるぞ」
転移符を起動し、拠点へショルを飛ばす。
(アキラ、そっちにショルを送った面倒を見てやってくれ)
(了解。ダイスさんはどうするんだ?)
(残りの作業がまだまだ山積みでね。そっちを終わらせる)
(了解、ほどほどにしてちゃんと休んでくださいよ?)
(わかった、それじゃあな)
念話符を切る。
「空間移動に神託のように遠くの者に意志をを伝える術か。凄まじい物じゃのぉ」
「それについては師が凄いだけだ。俺は教わったに過ぎない、それより時間が惜しい。すぐ移動して、向こうの住人に紹介まで済ませてしまいたい」
「お主に任せよう」
転移符を起動する。
「ここがお主の領地か・・・これはなんとも、これで人類がほぼ皆無とは。マナと言い風景と言いまさに楽園じゃな。しかし、一つ分からん、何故人類がおらぬ?人とは住み良き所を目指し、荒らす者。この地が欲しくないわけが無かろうに」
周囲を見渡して精霊はそう言うが、ここは島の中央、端に行けば嫌でも理解するだろう。
「簡単にこれる場所じゃないと言う事だ。その辺はここの代表のヘスと言う名の精霊に聞けばいい。あそこの花畑の中にある大樹の所にいる奴だ」
「まだ幼い精霊の様だが、ここでは向こうが上じゃの。失礼が無いように挨拶するとしよう。ほれ、お主もついて来い、いきなり知らん者が来れば驚かれるであろう?」
「確かに、では行くとしようか大地の精霊殿」
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