第334話まさに錬金術

 さてさて、値段交渉な訳だが久しぶりにスキルの悪用をしよう。な~に思考能力とか交渉力とか無理やり数値化して下げただけだ。



 結果15の宝石を金貨1万8千枚分で売る事が決まった。




「流石にこの量の金貨がある訳ではないだろう?」



「時間を頂ければ支部を巡りかき集めてきますよ」



「それでも構わないのだが、次の商材が欲しくてね」



「何をお求めで?」



「そうだな。鉄、屑銀、金、麦あたりをそちらが出せる分購入しよう。当然値段は安くして貰うがな。これなら支部から金貨のみを集めるよりは負担も軽いだろう?」



 人工宝石まさに錬金術だな。



 細かな値段や量を話していたら昼食も忘れ夜を迎えていた。



 その後契約書を共同で作り互いにサインをした。それも互いの血を一滴ずつインクに混ぜた魔術的強制力を持つギアスの亜種のようなものにだ。いままでいた所よりこの分野では秀でているのだろう。



 それから、この国でどの場所でどんな物が採れるか聞き、この国の治安の良い所悪い所や一般的な国の情報を聞いた。



「まさか果てしない海の先から来られたとは。道理でこのような素晴しい物を商えるはずです」



 この商会長はこの宝石を更に高く売るアテが既にあるらしい。今にも小躍りを始めそうな雰囲気だ。



「とりあえず、一部を互いに渡そう。そうすれば商会長も動きやすかろう?」



「とりあえず最初のルビーをお願いします。こちらは金貨でよろしいですかな?」




「可能なら食料で頼みたい。無理な分は金貨でも構わない」



「ええ、良いですとも」




 商会長の指示でテキパキと荷が運びこまれてくる。俺はルビーを渡すと袋に入れる素振りをしながら空間庫にその全てを入れていく。




「この量が入るマジックバッグをお持ちとは、私もいつかは海の向こうに行って見たいですな」




「あまりお勧めはしないがな、やっていて言うのはどうかと思うが、賭けの要素が強すぎる。分かってはいるであろうがな」




「私も若ければやれたでしょうが、残念です」




 結局3日後にここで受け渡しをすることになり俺は商会を出た。今は夜、今聞いた鉱脈に仕込みをしに回るのは丁度いいだろう。


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