第330話太陽背負う守護の貴族
「これを持って行け」そう言って自身が着ているマントを俺に渡す。周囲がその光景にどよめくが、本人は何処吹く風か。
「良いのか? このエンブレム入りのマントなんとなくその意味は理解している」
「良い。お前は理解している。例え悪用して我が被害を被ろうとも、それ以上に食料がこの国に回る可能性があるのに比べたら安い物よ、出来れば民にも売ってやってくれ」
「ところでこのエンブレムは太陽か?」
「おうとも。この国の守りの要の二家が一つサランのエンブレムよ」
「片方が月か。同じシンボルの生まれの民として最大限に商ってみせるさ」
ここまで上手く行くとは意外だな。この巨躯の男の器も大きいからこそか。普通なら死体を転がしてお尋ね者だ。
それからこちらがどのような国か。海の向こうはどうなっているか等色々聞かれたが比較的穏やかな雑談をして屋敷を出た。
ーーーーー
「あの者を追いますか?」
「必要ない。折角強者との縁を結べたのだ、それを危機に晒す必要はあるまい。それに、あやつ真にこの国を救うほどの力があるやもしれん」
「何故そう思われるのです?この爺にその目で見た物を教えてくださいませ」
「あやつな、マジックバッグを出す素振りを見せておったが、魔術に収納しておる。あの袋はただの袋と言う事よな。なにより面白いではないか」
バタバタと駆け上がってくる兵が告げる。
「先ほどの商人が」
ゼイゼイと言葉を切らせて。
「急がぬで良い。まずは落ち着け」
大きく深呼吸をして心拍を落ち着けこう続ける。
「あの商人がこれは礼だと言って・・・井戸を・・・見ていただいた方がよろしいかと」
「枯れる寸前の井戸でも満たしたか?」
「ハイ」
「爺、こう言う事だ」
「御意に」
ーーーーー
ただのオマケだが恩の少しは返せただろう。富裕層である彼らであれだ。いや、民草に限界まで食料を回した線もあるか。なんだか巨壁の国を思い出す。
鉱物は根こそぎ頂くが、代わりに餓える事が無いまでは行かないが近い所までは持って行きたいな。あちらこちらで今まで溜め込んできた食料はまだまだあるが流石に国全土へは回らない。似た状況にあった巨壁の状況次第では種や苗を融通して貰って売るのが良いのかもしれない。
この国を色々回り抽出の術式を鉱脈に仕込むのと民への食料を行き渡らせる当面はこれが必要だろう。餓死なんか見たくないからな。
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