第321話たまには・・・ね?

 あれからすぐガウがいる部屋に戻る。



「どうしたんだい?ダイス」



「困ってる友人の為にあの馬鹿女に会おうと思ってな。それでいつ何処で会えば良い?」




 困ってる友の為とか嘘も良い所だが、恩は売っておこう。



「助かる、明日ここで良いかい?」





「勿論と言いたい所だが、予定が合うか確認する必要がある。明日無理なら次の鐘の刻までに伝えに来る」



「本当にありがとうございます」




 スロートが礼を言い、続いてガウがありがとうと続ける。それだけ聞くと今度こそギルドから出る。




拠点に戻ると念話符を取り出し、ルイへと繋げる。







(どうしたんだい?急に)



(色々相談がある。明日は空いてるか?)




(今も空いてるけど)



(軽く今話すが、大事な部分は明日直接頼む)



(とりあえずその軽くってのを聞こうかな)




(前に話した過去から来たであろう異界人の処分をどうするかだが)




(ああ、あれね。近隣と一戦やった後くらいだったかな?処分したよ。職人や資料なんかも全てね)




(そいつは手間が省けて助かった)




(それよりも痛々しい槍の英雄さんが君の事を未だ探してるみたいだけどね。どうするかは君次第かな)




(相手にする価値が感じられないな。目の前に出てきて煩わしいなら、その時だな)




(ところでサクライのお嬢さんはどうなったんだい?)



 随分と楽しそうに言いやがる。だが、それで良い。



(その事も含めて明日会って話したい。良いだろ?)




(そのくらいお安い御用だとも、楽しくなりそうだよ)



 全力で楽しくしてやりますとも。



(では明日頼む)



 念話符を切る。




 さてこれであの地雷女を押し付ける事が出来る。問題はルイの容姿だが、俺への印象を考えればいける可能性はある。たまには面倒を押し付けられる苦労を知るべきだあのショタ。




 ギルドだが、ポーションを今現在取引していない。というか金は潤沢にあるので売らなくても良い。となれば少し距離を置くのが賢明だろう。最早益が無い。




 アキラにこちらでの活動を任せてしまえるようになれば、この大陸には完全に用が無い。明日が終わればようやく歌の練習へ戻れる。




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