第320話必死な理由

 俺はアキラにこの辺での貨幣の価値や物価や風習等、最低限の事を教えて仕入れを丸投げした、金はかなり稼いでいるので多少損した所で良い、くらいのつもりだ。



 それよりも注意した事は自衛についてだ。銃と思っていたのは火薬の代わりに魔石の爆発を推進力とした物で弾丸の確保が難しい物らしいが、基本的に使用を禁止した。その代わり、俺の持つ転移符を座標として転移する転移符を渡す。緊急用だ。まあ、アキラ自身が強いと思うので杞憂だとは思うが。



 困った時はミルの店に相談に行くか念話符で俺に相談しろと言ってある。




 本当は一緒に仕入れ先に行くべきだろうが、面倒事がどうなるか分からないので仕方ない。とりあえずは面倒事を終わらせよう。




 向かう先はギルド、運が悪ければあの地雷女もいるかも知れないが、ある意味早期決着がつくからそれはそれで良し。




 いつもの様に職員に奥へと通される。部屋に入るとクリートとガウがいる。てかこいつらいつまで長が二人でいるのかと疑問に思うが、まぁ良いか。




「あの面倒な女がなにやらしていると聞いたが、後はお前等で受け持ってくれるのではなかったのか?」



 開幕言う台詞では無いがこの際いいだろう。こっちは迷惑なんだ。



「良かったダイスを探してたんだよ。僕達ではどうにも出来ない。でももう、襲い掛かる事は無いとだけは保障するよ」



 ガウは妙に疲れている様に見える。




「ルイからは掟がどうとかと聞いたが?」




「ダイスさんコレを聞いたら間違いなく嫌がるでしょうね。他の方なら喜ぶ方も多いはずなのですが」




「詳しく教えろ、そのくらいはしてもいいはずだ」




「ガウェインさんお願いします」




「サクライの女は自分より弱い者との交際が禁じられています」



「するとなんだ?あの時のは資格が俺にあるかもと試したと?」




「まぁ、そうなんだ。掟の事はその後に知ったんだけどね。今まで誰とも交際できなかったからかなり期待してたみたいなんだよね」




「なんだそりゃ?くだらねぇ。こっちの迷惑も考えろってんだ、向こうにその気があろうが俺には全く無い。他を当たれ、てか総長はやれん事ないだろうに」



「愛妻家ですので、二妻は無いでしょうね」とクリートが言う。




「とにかく俺は興味が無い。それにギルドの思惑もあるだろう?これ、そういうのはやめてくれ」





 俺はそれだけ言って部屋を出た。








 ルイが笑うわけだ、当人でなければ行き遅れに恐れる餓鬼が無様を晒してるだけなのだから・・・ん?


待てよ。さっき部屋で二妻は無いと言ってたな。





 少し楽しくなってきた。

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