第304話 最近は良く「待て」が入る
今女神は依頼者から敵へと変わった。ならばやるべき事は一つ。そう、いつもの様に淡々とだ。神が相手ならこれだ。
「止めよ」
術式に失敗してしまう。しかし、目の前の人物が来たのなら問題ない。
「神は呼んだら出てくる程暇では無い。だが、今回はお前の判断が正しいので許そう」
俺は結構暇だと思ってるんだけどな、お前等全般。
「ダイスよ経緯を話せ。豊穣の、我の許可無く一切の行動を禁止する。逆らうのであれば我らの盟約に下に理に還す。」
賽の神はそれだけ言い終えるとまた風景が変容した。今度は神殿だろうか?作り自体は白を基調とした神殿そのものだ。だがその空間は異様さが支配している。
空間がよく分からない次元にありそうとかどうでも良い、そんな事より圧倒的な上位者に囲まれている。
多分皆、一柱なのだろう。視線は俺に集中している。正直勘弁して欲しい。
「さて、ダイスよ。周りの神々にも聞こえる様に我を呼んだ経緯を話せ」
「俺はこの女神に依頼を受けた。自分の巫女を救出して欲しいと言う物だ。無事成し遂げると、報酬を渡しに女神は俺の前に現れ、神気が報酬だと言って渡そうと手を俺に差し出したが、俺は女神から悪意を感じ取ったので。賽の神を呼んだ。以上だ」
どよめきが一斉に起こった。魔力の、いや神気かが一気に溢れ返り、息苦しい。
「それは明確な禁忌だ」 「利用するだけして処分とは女神が聞いて呆れる」
「処分の仕方が最悪ですね。未来に何が起こるか想像するまでも無いでしょうに」
あちらこちらから、批難の声が聞こえる。俺は殺されかけたらしい。
「神々よ人の前でくらい落ち着かんか。示しが付かぬであろうが」
賽の神の一喝で静寂が戻る。
「さてダイスよ。以前お前に神気を貸した事があったな。くれてやる事は簡単だ。だがな、人の身では耐えられん」
「やはり俺を殺そうとしてたのか。理由は他の神の依頼を受けさせないか?」
「少し違う。お前は死なない。ただし、概念に還り自我を取り戻すまでそうさな、早くて数百年、長ければ数千年己に性質が近い概念を彷徨い、その後神として現世に放り出される」
「そんなもんは転生だ。死んだのとかわらん」
「その通りだ。だからこそ貸しただけだ。尤も神になりたいのであれば構わんぞ?」
「俺が拒否すると分かっているからこそ言っているな?」
「当然だ。さて神々よ、最悪の事態は未然に防げた。ギリギリではあったが。放置しておったらどうなったか、考えるだけでも頭が痛くなる。因みに三子神よ、我が出向かない場合はどうなった?」
「一柱の消滅」と白い神は言う。「神殺しの誕生」 褐色の神は言う。 「あるいは遠い未来に新神の誕生」
「聞いたな神々よ。これが愚か者が招こうとした結末だ。肝に銘じよ。続いて女神に対して裁判を行うがしばし待て、人の子を送り届け、後始末をつける」
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