第266話勝者は慌てふためく

 私は今凄い困っている。今までに色々困難は乗り越えてきたけど今回は別格です。暴漢と思って返り討ちにした人が実は被害者だったんです。



 最初は本当にエルフを狙う奴隷商か、ただの暴漢。そう思ったのです。いつもの様に軽く伸してお終い、よくある事です。でも今回は違いました。ただただ強かった。おまけに私の部族にやり方が似てます。



 私の部族は魔術への適性が非常に高いのですが。何をトチ狂ったのか、武術への信仰が異常な程に強いんです。まぁ魔術も学びましたが。その多くが相手の魔術を阻害、相殺するものが多いのです。彼が使ったのは私の部族が目指す先とも言える術でした。



 互いのマナを乱し合いながら試合を行う、私達の部族でなければそれこそ動く事すらままならなかったでしょう。



 私が間借りしている宿のベットを独占してる主はもう5日目を覚まさない。



 そうそう何故彼が被害者かと言うと私には賽の神様から頂いた力の中に、物語を読み取ると言う物があります。対象は場所からでも人からでも物からでも読み取れる面白い力です。



 難点は大きすぎる物語は強制的に読み取る事と読み取りたい物だけ読み取ることが出来ないという事でしょうか。正直使い勝手は微妙です。ですが、吟遊詩人として生きていく上でなら非常に有効な能力なのです。



 面白い話が勝手に手に入るのですから。まさか、本人から抗議がくるとは夢にも思いませんでしたよ。まぁ彼を読み取ってみると納得しましたが。



 物語として手に入る情報でしたから当然私は悪役ですよ。守るべきものを守る為死にいく前に自分の術式に封をするとか、どこの主人公なんですか。そして多分ですがこの人賽の神様のお気に入りです。



 もぅ胃が痛い。この人も事情をきちんと説明・・・出来る訳ないか。とりあえず死なないでよ本当。


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