第265話敗北は急に
痛い。体も動かない、どうしたかって?調子に乗りすぎたのさ。その結果両腕と右足の骨折は確定。内臓は無事だと良いが怪しい。しかも意識はあるが体が一切動きゃしねぇ。
オマケに現在進行形で術式を起動中。当然魔術なんかは使えない。とどめと言わんばかりに敵さんと人目につかない森の入り口付近で二人きり。素敵過ぎて笑いも出ねえよ。
何でこんなひでぇ状態かと言うと。ふざけた吟遊詩人を見つけてとっちめようととしたら返り討ちって寸法ですよ。この空間の中で当たり前のように動きやがる。しかも、武術に長けてやがるときた。俺如きじゃ手も足も出なかった。
最早俺の死は確定だろう。出来るのは術を解き、手持ちの全てを空間庫に放り込んで封をするくらいだ。
幸い相手はその小奇麗な顔でこちらを観察している。少しばかり距離もある。今だ。
術式を解除すると敵は呪文を唱え出した。転移符で逃げるだけの余裕はやはり無さそうだ。しかし、空間庫に手持ちを入れて楽園への道を閉ざすことくらいは出来る。
今の島は俺を必要としないでもやっていける。最低限の事はやった。
唐突に酔いのような感覚に襲われる。自分の中の魔力乱されている。成る程これでは魔術の行使は不可能だ。こちらの耐性を超えてきやがる。どちらにしろ勝ち目は無かったらしい。
だがもう良い。この空間庫は使用不可だ。懸念はルイを倒し楽園に行くだが。あいつなら勝てるはずだ。
畜生、一矢報いたかったなぁ。
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